異性との交際が不法行為となるのはどういう場合か

結婚している夫婦の一方が異性と交際し、他方配偶者がその異性に慰謝料請求する場合、どのような交際や行為が不法行為になるかが問題となります。

肉体関係がある場合に不法行為になることは疑うべくもありません。

それ以外の行為については、不法行為の定義が抽象的であることから、慰謝料請求の根拠からさかのぼって行為の範囲を確定して行く必要があると思われます。

異性との交際が不法行為となるのはどういう場合か

東京地裁平成17年11月15日判決では、第三者が相手配偶者と肉体関係を結んだことが違法性を認めるための絶対的要件とは言えない、と判示しています。

そもそも異性との交際が不法行為となるのは、最高裁判決の理屈だと、婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するからでした(最高裁判決平成8年3月26日判決)。

よって、性交類似行為、同棲を含め、婚姻生活を破綻に至らせる可能性のある異性との交流・接触も不法行為に該当すると言えます。

たとえば、合理的理由なくラブホテル等を利用していた事案で、性的不能であるため性行為はできなかったという主張をした被告に対して、異性とラブホテルで過ごす行為自体が婚姻の継続を著しく困難にするものであるから、性行為の有無にかかわらず不法行為が成立するとした裁判例があります(東京地裁平成25年3月25日判決)。

次に、人工授精を行ったという事案については、これ自体性行為があったとは到底認められないのですが、実質的に夫婦と同様の関係があると言えるので、不貞行為に等しいか、これを超える大きな苦痛を配偶者に与えたものとして、慰謝料200万円が認容されています。

愛情を告げるメールを送信することはどうでしょうか。
ここまで来ると、慰謝料請求を認めて良いか、かなり意見が分かれるところではないでしょうか。実際、裁判例も分かれています。そして、認めた例でも極めて低額(30万円)しか認容していません(東京地裁平成24年11月28日判決)。

メールについて注意すべきは、メールそのものが不法行為にあたるかどうかという局面と、メールから肉体関係が推認できる局面とでは全く意味あいが違うということです。

肉体関係を推認できれば、慰謝料請求できることに異論は無いでしょう。

手をつなぐ行為や面会する行為はどうでしょうか。
これについてもメールと似ていて、それが故に肉体関係を推認させる局面と純粋にそれらの行為しかない局面とを区別すべきでしょう。

基本的には、純粋に手をつないだり面会するというだけでは慰謝料請求を否定している例が多いと言えます。

具体的にこれらの行為で、違法とされてしまったのはどんな場合であったかの事例は以下のページをご覧ください。(異性との交際が不法行為となる限界事例

弁護士 片岡憲明

※平成30年8月28日時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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