子供がいるのに浮気。子供は不倫相手に慰謝料を請求できるか。

父親が浮気をして家を飛び出していくというのは、大変不幸なことです。

子供がいる場合は、その子供が父親と離れ離れになり、母子家庭状態となって、大変惨めな思いをすることもあるでしょう。

このように子供としては、浮気によって酷い目に合うわけですから、子供自身が不倫相手に慰謝料請求できても良さそうです。

子供がいるのに浮気。子供は不倫相手に慰謝料を請求できるか。

この点、子供が不倫相手に慰謝料請求をした事案の最高裁判決があります。

昭和54年最高裁判決は次のように判示しています。「妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持った女性が妻子の元を去った右男性と同棲するに至った結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなったと言っても、その女性が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に妨害するなどの特段の事情のない限り右女性の行為は未成年の子に対して不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。けだし、父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかに関わりなく、父親自らの意思によって行うことができるのであるから

つまり、父親が子供の監護等を放棄したのは、当該父親の問題であって、不倫相手の行為とは直接因果関係がないというわけです。

当時、この最高裁判決の内容を伝える新聞記事では、子供には冷たい判決との意見があったそうです。

しかし、裁判所は、決して子供に冷たいわけではありません。実際、この判例以後の多数の裁判例では、子供がいる場合の不貞慰謝料請求の認容額は子供がいない場合と比べてかなり高額となっています。

私の印象では、50~100万円くらいの違いはあると考えています。

裏を返すと、子供がいない場合はそれほど高額な慰謝料が期待できないということでもありますが・・・。

したがって、裁判所は、子供の慰謝料をストレートに認めているわけではないとしても、子供を一人で面倒見なければならなくなった他方配偶者に対する慰謝料加算という形で子供の慰謝料を実質的に認めていることになるのではないかと私は考えています。

弁護士 片岡憲明

※平成30年8月28日時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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