子どもとの面会交流

当事務所では、週に1回、家事事件の勉強会を行っています。

今回は、勉強会で検討した事項の中から、子どもとの面会交流に関する手続についてお話しさせていただきます。

子どもとの面会交流

1 面会交流とは

面会交流とは、離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親(非監護親)が子どもと面会等を行い交流することです。

非監護親との関係性の継続は子の健全な成長のために資する、との考え方から、子の福祉を害するおそれがあるといえる特段の事情(禁止・制限事由)がなければ、面会交流の円滑な実施を協議する方向で協議が進められるというのが、現在の家庭裁判所における実務です。

2 面会交流の方法・内容

面会交流の方法には、直接面会する方法もあれば、手紙、電話、メール等で連絡を取り合ったり、定期的に成績表や写真などを送るといった方法(こうした間接的な方法を間接交流といいます。)もあります。

また、具体的な内容も様々です。例えば、直接面会するといっても、面会時間や場所、頻度、受渡し方法、親同士の連絡方法などは、当事者によって様々です。

3 大切なのは子の福祉の視点

面会交流では、子の健全な成長を支えるという観点が最優先されます。

そのため、面会交流の方法・内容を決める際は、子どもの意向を尊重し、また、子どもに精神的な負担をかけることがないよう十分に配慮する必要があります。

例えば、子どもの年齢が小さい場合には、長時間の面会は負担が大きいですから、子どもに負担がかからないよう短めの時間に設定し、大きくなったら徐々に時間を長めにとったり行動範囲を広げていくなどの配慮が必要になってきます。

年齢の他にも、子どもの意思、性格、性別、就学状況、生活リズム、生活環境などを考慮する必要があります。

4 面会交流調停・審判

面会交流の方法・内容は、まずは父母の話合いによって決めますが、話し合いが平行線をたどってしまったり、話合いに同居親が応じなかったりして話合いをまとめることが困難な場合には、家庭裁判所に面会交流の調停又は審判を申し立て、面会交流について取決めを求めることができます。

調停は、裁判所の助言を得ながら、話合いによって面会条件を調整する手続です。

話合いがまとまらず、調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続が開始されます。審判では、裁判官が、全事情を考慮のうえ、面会条件を決定します。

5 面会交流調停の手続の進め方

調停では、調停委員会が当事者双方から話を聞き、当事者の意向やこれまでの状況を把握し、子の福祉を害するような特別な事情がないか目を配りながら、面会交流の実施に向けて調整を行います。

また、面会交流の意義や目的について理解を促すことも調停の担う重要な役割のひとつです。その一環として、裁判所が作成したDVDの視聴が促されることもあります。

当事者間の対立が激しい場合などには、必要に応じて、家裁調査官が関与することもあります。家裁調査官は、心理学等の専門的知見を有しており、子どもと面接して子の意向を調査したり、試行的面会交流を援助したりすることで、円滑な解決の支援を図ります。

6 試行的な面会交流

面会交流の方法・内容等を定めるにあたって、試行的に面会交流を実施することがあります。特に、家裁調査官の主導の下、家庭裁判所で行われる場合を「試行的面会交流」と呼びます。

試行的面会交流は、家庭裁判所にある、マジックミラーやモニター等によって外から面会状況を観察できるようになった部屋で行われます。調査官の立会いの下、まずは監護親と子どもが入り交流し、子どもが落ち着いたら非監護親と監護親が交代し、子どもと非監護親が交流を行います。

そして、試行的面会交流の実施状況を参考に、面会交流の方法・内容等を定めていきます。

7 おわりに

面会交流は、お子さんと交流できる大切な時間であるがゆえに、ともすると、親同士の対立が激化して、お子さんを蚊帳の外にしてしまうことがあります。しかし、子の福祉という視点を第一に考え、お子さんのお気持ちや環境に寄り添った、柔軟な面会交流条件を定めることを心掛けることが重要です。

弁護士 片岡憲明

※平成30年8月28日時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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