医師特有の離婚の問題その1

医師(医者)の方の離婚事件をこれまでかなりの件数担当してきました。
医師側も医師の妻側も担当しましたが、どちらかというと、医師側の担当の方が割合は多かったです。

さてそれで医師特有の離婚紛争の問題についてですが、その1つは、婚姻費用や養育費をどう算定するか、という問題です。

医師特有の離婚の問題その1

医師の場合は年収が2000万円を超える場合が多いため、
裁判所が用意している養育費等の算定表がそのまま使えない例が多いことによります。
裁判所では、養育費等を簡単に算定するために算定表を用意しています。
算定表によれば、夫と妻の年収、子供の数・年齢が分かればほぼ自動的に算定することができます。

ところが、この算定表は、年収の幅が0~2000万円となっているため、
2000万円以上の年収がある場合はすぐには算定できないのです。
2000万円を少しだけ超える場合はほぼ2000万円として計算すれば良いのですが、
たとえば4000万円の場合とか、
1億円を超える場合とか、
他に事業をしていて事業所得がある場合とか、
は必ずと言っていいほど争いになります。

2000万円を超える年収がある場合、養育費等をどう算定するかは様々な計算方法が提唱されており、裁判例は固まっていない、というのが実情です(養育費等を算定する数式があるにはあるのですが、これをストレートに適用していいのか、争いがあるのです。)。

以前、別居した妻側(子供を3人監護)から医師(開業医)に対して月120万円の婚姻費用を請求された事案で、医師側の代理人をつとめたことがありました。
妻側は、医師の年収が5000万円を超えることから、上記程度の婚姻費用でもおかしくないと主張していましたが、交渉の結果、実費を積み上げて月60万円とすることで合意しました。
もし、月120万円もの請求が認められていたら、大変な事態を招いたことになったと思います。

高額所得の場合の裁判例は複数の種類がありますから、自分に有利な算定方法を説得的に主張する必要があると言えましょう。

弁護士 片岡憲明

※平成30年8月28日時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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