裁判官の目から見た不貞(不倫)の慰謝料請求における弁護士の活動

以前、裁判官の方とお話をする機会があったのですが、今、不貞(不倫)を理由とする慰謝料請求の事案が急増しているとのことです。
サラ金会社に対する過払金返還の事件、賃料未払などを理由とする建物明渡請求の事件の次に多いのだそうです。

裁判官の目から見た不貞(不倫)の慰謝料請求における弁護士の活動

裁判官として弁護士の訴訟活動について感じるのは、結構いい加減な訴状が多い、ということだそうです。
訴状というのは、裁判所に対して、被告に対する請求を認めてもらうために最初に提出する書面です。そのような重要な書面にいい加減なものが多いというのは由々しき問題です。

具体的に尋ねますと、訴状には不貞(不倫)がある、とだけしか書かずに具体的な事実を記載しなかったり、一応具体的な事実を記載していても、その主張を裏付ける証拠を全く提出していない例が多いのだそうです。
裁判官は、事案に対して判決を下さなければいけない責任ある立場なので、原告が曖昧・抽象的な主張をすると扱いに困ってしまうのでしょう。

しかし、我々弁護士の立場から申し上げると、なかなか確たる証拠が掴めなかったり、相手方が上手に嘘をつくのでなかなか手の内を見せられないといった事情から、訴状を曖昧にせざるを得ない場合もあるのです。最初からすべての証拠を出したり、詳しい主張をすることはリスクを伴うでしょう。

特に不貞の証拠は、高額な探偵費用をかけてようやく入手できるものなので、万が一にも慎重に提出したいです。

裁判官にはなかなか理解して頂けず、辛いところですが、依頼者のためにベストを尽くすしかありません。

弁護士 片岡憲明

※平成30年8月28日時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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