離婚に関するQ&A

同性カップルの事実婚は、男女間と同じように法的保護が認められるのか?(LGBT)

私は現在50歳で、バツイチです。

実は1年前、35歳の女性Aさんと交際を始め、結婚を前提に同棲を開始しました。私は、AさんはBさんと、同居していることは知っていましたが、最近になって、Bさんから、私達はLGBTで、結婚式も挙げていた、幸せな結婚生活を送っていたのに、その関係を壊されたので、慰謝料請求をすると言われました。私とAさんは応じなければならないでしょうか。

最近、自民党が、「日本がちゃんと多様性を認める、そして寛容な社会を作っていく」との号令の元、LGBTなどに対する理解増進に向け、超党派の議員連盟で、同性婚を認める法案の審査を行いました。しかし、法案に反対する議員が大勢を占めた、とのことでした。

同性婚は、2001年4月にオランダで初めて認められ、欧米諸国を中心に拡大し、19年5月には台湾で同性婚法が施行されました。
日本ではそこまでは至っていませんが、15年、渋谷区が同性カップルにパートナーシップ証明書を発行する条例を施行し、78の自治体にも広がっています。

19年2月に、国が同性婚を認めないのは、婚姻の自由などを保障する憲法に違反するとして、札幌、東京、名古屋、大阪地裁で一斉に提訴されました。そして、今年3月17日、札幌地裁において、同性婚が認められないことは、憲法14条の「法の下の平等」に照らし違憲だ、との判断を示しました。

今回のご相談のケースは、このような最近の世論や、裁判の流れの延長線上にある事例だと思います。

実は、昨年、東京高裁で、本件と同じような事例で判決が言い渡されています。
その事例は、甲と乙とは、平成22年2月から同居を始めて、平成26年12月ニューヨーク州法に基づき婚姻して、婚姻登録証明書を取得し、その後日本でも結婚式を挙げました。甲と乙とは子供を育てたいと思い、乙において精子提供を受けることにして、SNSを通じて精子提供者を募ったところ、丙が応じて精子を提供しましたが、その後乙と丙が親しくなって、結果的には甲と乙との婚姻関係が破綻した、という内容でした。

この主な争点は、同性の事実婚が法的保護を受けられるか否か、にあります。

一審は、「同性の事実婚の実態に着目して、男女間の内縁関係と同視できる生活関係にあるものについては、内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められる」として、100万円の支払を認めました。しかし、については、「甲と乙との関係を破綻させることを意図していたと認められない」としました。

高裁判決は、結論は同じですが、「夫婦としての生活を営む結合としての婚姻に準ずる関係にあった」と、一歩突っ込んだ理由を付けています。
ご相談のケースについて、貴方が、AさんとBさんとが、婚姻生活に準ずる関係にあったことを知って、その関係を壊した、と判断されれば、Aさんと共に、損害賠償責任を負うことになりそうです。

月刊東海財界 2021年7月号掲載

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

                       

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