不倫

不倫を証明するためにはどうすればいいですか?

  1. Q相談事例

    夫が、最近、頻繁に深夜に帰ってくるようになり、不倫を疑いました。
    そこで探偵を依頼したところ、同僚の女性宅に頻繁に出入りしているのが分かりました。
    夫には、同僚女性のことをそれとなく尋ねたのですが、ただの友人、と関係を否定しています。
    夫の不倫を証明するためにはどうすればいいでしょうか?

    ※本相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

  2. A回答

    不倫を証明するための証拠としては次のようなものが考えられます。

    1. 夫が不倫を自白した会話の録音
    2. 夫が不倫相手とラブホテルに入ったり、夜間から朝方にかけて不倫相手の自宅に滞在していたこと、あるいは腕組みやキスなどの交際を窺わせる写真や動画
    3. SNSやメールで不倫を疑わせる親しいメッセージ(スクリーンショット)

    これらを確保しましょう。

  3. 解説

    不倫の立証は容易ではありません。
    密室の出来事ですので、否定されると、証明は極めて困難となります。
    例えば、夫が不倫相手の自宅に何度も通っていたとしても、遊びに行っていただけだと強弁されることがあります。密室で何をしていたのか分かりませんので、本当に遊んでいただけである可能性もあり、これだけでは、不倫の立証にはならない可能性があります。

    しかし、②夫が不倫相手とラブホテルに入ったり、夜間から朝方にかけて不倫相手の自宅に滞在していたこと、あるいは腕組みやキスなどしていれば、不倫があったと推認が可能です。
    これら交際を窺わせる写真や動画があれば、立証としては十分だということになります。

    もちろん、①夫が不倫を自白していれば、それに勝るものはありませんが、自白の際の会話の録音をしておかないと、「そんなことは言った記憶は無い。」と発言を翻すことがあります。
    証拠の確保が重要です。

    最近、多いのが、③SNSやメールで不倫をうかがわせる親密なメッセージ(スクリーンショット)で不倫を立証するケースです。
    曖昧な表現ですと、不倫ではない、とか、冗談を言っていただけ、等の言い逃れをされるおそれがありますから、他の発言や証拠も総合して、立証されているかどうかを専門家に確認する必要があります。一般的には、肉体関係を結んだときの状況をやり取りするメッセージがあれば、固いと思われます。

【参考条文 】
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

【参考文献 】
秋武憲一/著『第3版 離婚調停』(日本加除出版、2018年)93頁
「文献引用:ウ不貞行為の立証不貞行為の立証は,相手方が認めている場合や不貞行為の現場の写真・ビデオや動画撮影等がある場合以外は非常に困難です。携帯電話やパソコンのメールの内容等により密接な交際をしていることが明らかになることがありますが,このことだけで,ただちに性的関係を持ったとはいえません。その結果,不貞行為の存否については,判然としないことも少なくありません。しかし,このような場合,民法770条1項1号所定の不貞行為とはいえないとしても,同条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」になることがあります。」
以上のように密室での出来事であるため、不貞は判然としないことが多いですから、専門家による慎重な証拠の判断が必要となります。

日本加除出版
https://www.kajo.co.jp/

不貞慰謝料請求をされたらどうすればよい?不貞慰謝料の相場は?

不貞慰謝料請求における不貞行為の定義

一般的には、配偶者以外の第三者との性行為を指しますが、裁判例を見る限り、性行為以外にも、配偶者以外の第三者との同棲や婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある異性との交流・接触(例えば、頻繁にデートに行き、キス等の親密なスキンシップも行っている場合等)も、不貞行為にあたると考えられています。
これに対して、離婚原因としての不貞行為については、配偶者以外の第三者と性的関係を結ぶことと考えられています。このように、離婚の場面と不貞慰謝料の場面では、不貞行為の意味合いが異なってくることになります。

不貞慰謝料を支払わなくてもよい場合

①不貞行為をしていない場合
不貞行為をしていないのであれば、慰謝料を支払う必要はありません。

②不貞相手が既婚者であることを過失無く知らなかった場合
不貞慰謝料請求が認められるためには、不貞相手に、不貞行為に対する故意又は過失が必要になります。
したがって、不貞をした者が、相手が既婚者であることを知らず、かつ、知らなかったとしてもやむを得ないといえるような事情があれば、不貞慰謝料請求は認められないことになります。
もっとも、例えば、相手が結婚指輪をしていたとか、相手の車にベビーカーが置いてあった等、相手が既婚者であることに容易に気が付く状況であるにも関わらず、気が付かなかったというような場合には、過失が認められ、不貞慰謝料請求は認められることになると思われます。
また、相手が既婚者であることを、交際当初は知らなかったとしても、しばらく経ってから知ったというような場合には、知った以降も交際を続けている場合、不貞慰謝料請求が認められることになります。

③不貞行為があった時点ですでに婚姻関係が破綻していた場合
不貞行為があった時点ですでに、相手方夫婦の婚姻関係が破綻していた場合には、不貞慰謝料を支払う必要はありません。
もっとも、婚姻関係が破綻していたといえるためには、離婚に向けた具体的な話し合いがすでになされていたとか、別居が1年程度続いていたとか、明確な事情が必要になってくるため、③の理由により不貞慰謝料を支払わずに済むケースは少ないです。

④不貞行為があった時点ですでに婚姻関係が破綻していたと過失無く信じた場合
③と関連しますが、仮に婚姻関係が破綻していなくても、婚姻関係がすでに破綻していると過失無く信じた場合には、不貞慰謝料を支払う必要はありません。
もっとも、不貞相手から、夫婦関係はすでに破綻していると口頭で言われていただけでは足りず、長期間別居をしている状態であり、かつ、離婚届を見せられたといった、信じるにつき相当な理由があるといえる必要があります。

不貞慰謝料請求をされた場合に確認すべきこと

①請求内容の確認
書面で来ることが大半だとは思いますが、稀に電話にて不貞慰謝料を請求されることもあります。
いずれにしても、事実関係に誤りがないかをまずは確認する必要があります。
また、請求額、支払方法、支払期限も確認する必要があります。

②書面の形式の確認
訴状が届いた場合、民事訴訟を提起されたということになりますので、訴状に対する反論を記載した答弁書を裁判所に提出しなければなりません。
いずれにしても、訴状が届いた場合には、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
訴状以外の形式の書面(通知書等)が届いた場合には、話し合いで解決を図ることができる可能性がありますので、無視するのではなく、請求者ときちんと交渉をする必要があります。

不貞慰謝料の相場

仮に裁判になった場合、150万円~200万円程度になることが多いですが、事案によっては、50万円~100万円程度に減額できたり、逆に300万円程度になることもあります。
慰謝料額は、不貞の期間・回数、不貞に至った経緯、婚姻期間の長短等の事情によって大きく変わってきます。

まとめ

以上のとおり、不貞慰謝料請求に関して説明をしてきましたが、支払わなくて済むケースもあれば、多額の慰謝料を支払わなくてはならないケースもあり、御自身で対応をするのは、難しい事件かと存じます。
当事務所では、不貞慰謝料請求に関する紛争についても豊富な取扱・解決実績がありますので、ぜひご相談ください。

電話で問い合わせ052-231-1706
       
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