Q&A よくある質問
離婚に関するQ&A
不倫を証明するためにはどうすればいいですか?
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Q相談事例
夫が、最近、頻繁に深夜に帰ってくるようになり、不倫を疑いました。
そこで探偵を依頼したところ、同僚の女性宅に頻繁に出入りしているのが分かりました。
夫には、同僚女性のことをそれとなく尋ねたのですが、ただの友人、と関係を否定しています。
夫の不倫を証明するためにはどうすればいいでしょうか?※本相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
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A回答
不倫を証明するための証拠としては次のようなものが考えられます。
- 夫が不倫を自白した会話の録音
- 夫が不倫相手とラブホテルに入ったり、夜間から朝方にかけて不倫相手の自宅に滞在していたこと、あるいは腕組みやキスなどの交際を窺わせる写真や動画
- SNSやメールで不倫を疑わせる親しいメッセージ(スクリーンショット)
これらを確保しましょう。
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解説
不倫の立証は容易ではありません。
密室の出来事ですので、否定されると、証明は極めて困難となります。
例えば、夫が不倫相手の自宅に何度も通っていたとしても、遊びに行っていただけだと強弁されることがあります。密室で何をしていたのか分かりませんので、本当に遊んでいただけである可能性もあり、これだけでは、不倫の立証にはならない可能性があります。しかし、②夫が不倫相手とラブホテルに入ったり、夜間から朝方にかけて不倫相手の自宅に滞在していたこと、あるいは腕組みやキスなどしていれば、不倫があったと推認が可能です。
これら交際を窺わせる写真や動画があれば、立証としては十分だということになります。もちろん、①夫が不倫を自白していれば、それに勝るものはありませんが、自白の際の会話の録音をしておかないと、「そんなことは言った記憶は無い。」と発言を翻すことがあります。
証拠の確保が重要です。最近、多いのが、③SNSやメールで不倫をうかがわせる親密なメッセージ(スクリーンショット)で不倫を立証するケースです。
曖昧な表現ですと、不倫ではない、とか、冗談を言っていただけ、等の言い逃れをされるおそれがありますから、他の発言や証拠も総合して、立証されているかどうかを専門家に確認する必要があります。一般的には、肉体関係を結んだときの状況をやり取りするメッセージがあれば、固いと思われます。
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
【参考文献 】
秋武憲一/著『第3版 離婚調停』(日本加除出版、2018年)93頁
「文献引用:ウ不貞行為の立証不貞行為の立証は,相手方が認めている場合や不貞行為の現場の写真・ビデオや動画撮影等がある場合以外は非常に困難です。携帯電話やパソコンのメールの内容等により密接な交際をしていることが明らかになることがありますが,このことだけで,ただちに性的関係を持ったとはいえません。その結果,不貞行為の存否については,判然としないことも少なくありません。しかし,このような場合,民法770条1項1号所定の不貞行為とはいえないとしても,同条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」になることがあります。」
以上のように密室での出来事であるため、不貞は判然としないことが多いですから、専門家による慎重な証拠の判断が必要となります。
日本加除出版
https://www.kajo.co.jp/
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
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監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明
弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)
1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。
企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。
愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。
常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。