離婚の知識
電話会議・テレビ会議で、裁判所に行かなくても済む時代に
ウィズコロナの時代の前から、遠隔地の裁判所で調停を行う場合、電話会議が利用されていました。
たとえば、東京家庭裁判所に離婚調停を申し立てたり、遺産分割調停を申し立てると、ほぼ100%の事件につき、電話会議にしてもらえます。当事者も代理人も東京に行く必要はありません。

離婚の場合、協議離婚が整わないと、当事者の一方が、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てなければなりません。そして、その場合、基本的には、相手方の住所地の家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
例:別居して妻が名古屋から福岡の実家に戻ってしまった場合、夫から妻へ離婚調停を申し立てる場合には、妻の居住する福岡が管轄になり、福岡家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
このような場合、 電話会議を利用したいと裁判所に要請しておくと、福岡家庭裁判所へ行かずに調停をすることができます。
電話会議の具体的な手続き
電話会議は、弁護士事務所と裁判所とを電話でつなぎ、スピーカー機能のある電話で、当事者・弁護士と調停委員とが協議を進めていきます(当事者が直接会話を交わすのではなく、原則、調停委員がそれぞれ別々にお話を聞きます。)。
電話ですので、顔が見えないのと、口頭でやり取りするため、分かりにくい点はありますが、弁護士がついていると、何が話されているか分かりやすく説明してもらえます。
さらに、現在は一部の裁判所でシスコウェブイーエックスというソフトを使ったテレビ会議を行っており、このテレビ会議ならば、相手方の顔を見て話すことができます。
弁護士がついてれば、本人の出頭なしに離婚の成立が可能に
このように大変便利な電話会議ですが、以前は離婚成立のためには本人の出頭が不可欠と言われていて、最後の最後で出頭を求められることがありました。
本人確認が必須だと言われていたからです。
しかし、現在は、代理人がついている調停ならば、調停に代わる審判(家事審判法24条1項)というものを裁判所から出すことによって、最初から最後まで裁判所に行かずに離婚できるようになりました(但し、審判が確定のために2週間ほど時間がかかります。)。
このように、技術革新やコロナ禍によって、調停手続きは進化を遂げており、不合理な費用負担や労力を回避できるようになっていっています。
当事務所はなるべくお客様の負担が少なくなるよう、こうした実務上の工夫を最大限活用して提案していきます。
監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明
弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)
1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。
企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。
愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。
常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。



