離婚の際に配偶者の財産を調べる方法

夫婦が離婚をする場合、財産分与によって、夫婦がこれまでに築いた財産を分けることになります。

今回は、他方配偶者がどれ位の財産を持っているかを、どのように把握すればよいか、についてご紹介させていただきます。

離婚の際に配偶者の財産を調べる方法
相談者
相談者

妻と話し合い、離婚をすることにしました。
離婚をする際には、財産分与をすることが一般的だと聞いたのですが、そもそも財産分与とはどのようなものでしょうか。

弁護士
弁護士

財産分与とは、夫婦が同居期間中に協力して築いた財産を、離婚に際して分けることをいいます。
たとえば、夫が会社員として働き、妻が専業主婦として家事・育児を行っていた場合、その世帯の収入は夫の給与のみということになりますが、夫が仕事をできたのは妻が家事・育児をしていたからと考えて、その間に築いた財産を夫と妻で5:5になるように分与します(※)。
※まれに分与割合が5:5にならない事例もあります。

相談者
相談者

夫婦で築いた財産ですか。
あまりピンとこないのですが、具体的にはどのようなものが財産分与の対象になるのでしょうか。

弁護士
弁護士

夫又は妻名義の不動産(土地・建物)、預貯金、各種保険、有価証券(株式・投資信託等)、自動車、退職金などが典型です。住宅ローンがある場合は、当該ローンも負の財産として考慮することが一般的です。

相談者
相談者

なるほど。
私と妻は共働きなのですが、妻に財産管理を任せてきたので、妻名義の財産としてどのようなものがあるか、まったく把握していません。
このような場合でも問題はないのでしょうか。

弁護士
弁護士

財産分与をする際に、相手方名義の財産として、どこに、どのような財産があるのか把握することは非常に大切です。
たとえば、一方の配偶者が自分名義の一部の財産を隠したまま財産分与をして、隠した財産は丸取りしてしまう、という可能性もあります。

相談者
相談者

それは困りますね。

弁護士
弁護士

はい。
そのような事態を防止するために、まずはご自身で、可能な限り、どこに、どのような財産があるかを把握していただく必要があります。

相談者
相談者

具体的には、どのようなことをすればよいのでしょうか。

弁護士
弁護士

まずは、別居する前に調査をされるのがよいでしょう。
たとえば、預金通帳などは1箇所にまとめてある場合が多いため、探してみて、金融機関名、支店名、残高をメモしたり、写真を撮ったりしておくとよいでしょう。

相談者
相談者

株式や生命保険についてはどうでしょうか。

弁護士
弁護士

株式がある場合には、証券会社から郵便物が届くことがあります。
ご相談者様がその証券会社に口座を保有していない場合、相手方がその証券会社に口座を保有している可能性が高いため、証券会社名をメモしておくとよいでしょう。
保険会社についても同様です。

相談者
相談者

なるほど。
今教えていただいた方法で探しきれなかった場合、他に何か調査をする方法はありますか。

弁護士
弁護士

離婚調停や離婚訴訟など裁判所の手続を利用する場合は、調査嘱託という制度を利用して、裁判所に調査してもらうことができます。

相談者
相談者

裁判所が調査してくれるなら安心ですね。

弁護士
弁護士

そうですね。
しかし、たとえば、どこにあるかわからないけれど、とにかく相手方は預貯金を隠しているので、すべての金融機関について調査をしてほしい、といった探索的な調査嘱託は、裁判所も認めてくれません。
預貯金であれば金融機関名と支店名、保険であれば保険会社名と保険の種類などを特定し、ある程度の資料を確保しておく必要があります。

相談者
相談者

分かりました。
そうしたら、まずは私と妻の財産としてどのようなものがあるかを自分で探してみようと思います。

弁護士
弁護士

それでも財産を隠されていると感じて、離婚の話し合いがまとまらなければ、離婚調停や離婚訴訟の中で調査嘱託を申し立てることも検討されるのが良いと思います。

以上のように、財産分与をする際には、まず他方配偶者がどのような財産を保有しているかを把握する必要があります。 別居をすると把握が難しくなるので、弁護士に相談の上、別居前に準備することをお勧めします。

※2022年1月時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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