婚姻費用と養育費の算定方法と、減額などの修正要素について

婚姻費用や養育費の相談を受ける際、婚姻費用や養育費の算定方法を聞かれたり、諸事情(住宅ローンの支払、私学の学費等)により、婚姻費用や養育費の金額が増減しないかを聞かれることがあります。

そこで、今回は、婚姻費用と養育費の算定方法及び修正要素について、対話形式でご説明させて頂きます。

婚姻費用と養育費の算定方法と、減額などの修正要素について
相談者
相談者

私には妻と息子(12歳)がいるのですが、現在、妻および息子とは別居をしております。妻と息子は、私名義の分譲マンションに居住し、私は賃貸アパートに居住しております。
別居後に、妻から私に対して、婚姻費用の支払を求める連絡がありました。
そもそも、婚姻費用はどのようにして決めるのでしょうか。

弁護士
弁護士

一般的には「養育費・婚姻費用算定表」という家庭裁判所で用いられている基準に基づいて婚姻費用を取り決めます。
家族構成(子の有無、子の人数、子の年齢)および夫と妻の双方の収入で、婚姻費用を表からすぐに割り出すことができます。
もっとも、必ず上記の表に基づいて決まるわけではなく、当事者同士の話合いで自由に婚姻費用の金額を決めることもできます。
ところで、Aさんと奥様の収入はそれぞれいくら位ですか。

相談者
相談者

私の年収は550万円位で、妻の年収は100万円位です。

弁護士
弁護士

算定表に基づいて婚姻費用額を算出した場合、Aさんと奥様の収入及びお子様の年齢を踏まえると、月額10万円が相当ということになります。

相談者
相談者

月額10万円ですか、結構かかるんですね。妻と子は、私名義の分譲マンションに居住しており、私が分譲マンションの住宅ローンを毎月支払っているのですが、それは婚姻費用の算定に影響しますか。

弁護士
弁護士

月々の住宅ローンの支払は、離婚に伴う財産分与において考慮されるもので、婚姻費用においては考慮しないというのが原則です。
もっとも、Aさんは、別居後に賃貸アパートを借り、住宅ローンの支払に加えて家賃も払っていますので、そのことが考慮されて、婚姻費用の金額(10万円)をいくらか減額させることができるかもしれません。
なお、減額できる金額については、ケースバイケースであるため、一概にいくらということはできませんが、権利者(本件でいうと奥様)の収入に応じて金額を決める場合があります。例えば、奥様の収入が200万円未満の場合は、月額2万円程度を、算定表で決まった金額(今回は10万円)から減額できる場合もあります。

相談者
相談者

私は、分譲マンションの水道光熱費、管理費、修繕積立金及び固定資産税も負担しているのですが、これらは婚姻費用の算定に影響しますか。

弁護士
弁護士

水道光熱費と管理費については、本来奥様の生活でかかる費用ですから、婚姻費用の金額(10万円)から、減額できる可能性があります。
一方、修繕積立金については、管理費とは違って、数年に一度または数十年に一度の単位で必要となる大きなお金であり、日々の生活で生じる費用とはいい難い側面があるため、婚姻費用の金額(10万円)から、修繕積立金の金額を減額するのは難しいと思います。
固定資産税も、当該不動産の所有者に課せられる税金であり、居住の有無は関係がないことから、婚姻費用の金額(10万円)から、固定資産税の金額を減額するのは難しいと思います。

相談者
相談者

離婚が成立した場合、養育費を妻に払っていくことになると思うのですが、養育費はどのようにして決めるのでしょうか。

弁護士
弁護士

婚姻費用と考え方は同じです。算定表に基づいて養育費の金額を決めることもありますし、当事者同士の話し合いで自由に養育費の金額を決めることもあります。

相談者
相談者

算定表に基づいて養育費を決める場合、いくら位になりますか。

弁護士
弁護士

Aさんの収入(550万円)と奥様の収入(100万円)及びお子様の年齢(12歳)を踏まえると、月額6万円が相当ということになります。

相談者
相談者

息子は、現在小学校6年生であり、来年から私立の中学校に通学する予定なのですが、私学費用は、月額6万円とは別に支払う必要があるのでしょうか。

弁護士
弁護士

お子様が私立の中学に進学した場合、私立学校の学費が、公立学校の学費を超えるものである場合には、月額6万円の養育費だけでは足りず、別途負担しなければならない場合があります。
具体的には、私立学校の学費から、公立学校の一般的な学費を控除した残額について、当事者間で協議して負担額を決めることになります。

以上のとおり、今回は、婚姻費用と養育費の算定方法及び修正要素について、説明させていただきました。
婚姻費用や養育費の具体的な金額は、「養育費・婚姻費用算定表」だけではなく、その他の様々な要素を考慮して決められることになります。
そこで、婚姻費用や養育費をいくら払えば良いか悩んでいる方や、婚姻費用や養育費がいくら貰えるのか分からない方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度弁護士に相談されることをお勧めします。

※2023年1月時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

電話で問い合わせ052-231-1706
離婚相談票
PAGETOP

離婚相談票