特有財産って何?

離婚をするときには、配偶者の一方が他方に対して、同居期間中に夫婦で築いた財産を半分に分けるよう、財産分与の請求をすることができます。

財産分与をする場合、別居時点で夫婦が保有していた財産が対象になりますが、例えば特有財産のように、財産分与の対象にならない財産もあります。

そこで今回は、特有財産とは何か、どのような場合に特有財産の主張が認められるのか、についてご紹介いたします。

特有財産って何?
相談者
相談者

私は、自宅で妻と子ら2人と生活していたのですが、妻が3か月前に子らを連れて実家に帰ってしまいました。
現在、妻とは離婚の話し合いをしているのですが、妻から財産分与をするよう求められています。
財産分与とは、どのようなものでしょうか。

弁護士
弁護士

財産分与とは、一言で言うと、離婚に際して、夫婦が同居期間中に築いた財産を半分に分ける、というものです。
同居期間中に築いた財産は、夫婦双方の貢献があったからこそ獲得できた、という考えに基づき、離婚をする際に、夫婦の財産を原則として半分ずつに分けるのです。

相談者
相談者

なるほど。
そうすると、私名義の財産の方が、妻名義の財産よりも多いので、私は妻に対して、財産分与として、一定の支払いをしなければいけないということになりそうです。

弁護士
弁護士

ちなみに、ご相談者様名義の財産の中に、特有財産といえるものがあれば、財産分与の支払額を減らすことができる可能性があります。

相談者
相談者

特有財産とはどのようなものですか。

弁護士
弁護士

特有財産とは、その取得について他方配偶者の寄与が認められない財産です。
一方の配偶者が、贈与や相続によって得た財産などが典型です。

相談者
相談者

私は8年ほど前に、自宅マンションを4,000万円で購入したのですが、その際、私の父から1,000万円の援助をしてもらいました。
この場合、特有財産の主張をすることはできるのでしょうか。

弁護士
弁護士

はい、特有財産の主張をできる可能性があります。
この場合、自宅マンションの4分の1が、ご相談者様の特有財産だと考えることができます。
現在の自宅マンションの評価額が3,000万円だとすると、その4分の1である750万円分は、特有財産だと主張ができると思われます。

相談者
相談者

そうなのですね。
そう言えば、自宅マンションを購入する際、私は妻に、私の父が援助してくれたことは伝えましたが、金額までは伝えませんでした。
特有財産の主張をするために、何か資料を用意する必要がありますか。

弁護士
弁護士

お父様から1,000万円を援助してもらい、それを自宅マンションの購入代金の支払いに充てた、というお金の流れが分かる資料があるとよいと思います。
具体的には、お父様名義の口座に入っていた1,000万円が、ご相談者様名義の口座に送金されたことが記載された口座履歴と、ご相談者様名義の口座に送金された1,000万円が、不動産会社の代金支払口座に送金されたことが記載された口座履歴があるとよいと思います。

相談者
相談者

なるほど、父と私の口座履歴を確認してみようと思います。
それと、私は30歳の時に妻と結婚しましたが、結婚前に持っていた預貯金も、特有財産になるのでしょうか。

弁護士
弁護士

これについては、特有財産と認められる場合もありますが、認められない場合もあります。
一般的には、ご結婚前の預貯金が、ご結婚後に得た預貯金と混ざらないように、分けて管理されていた場合、特有財産と認められやすいです。

相談者
相談者

具体的に、特有財産と認められる場合とは、どのような場合がありますか。

弁護士
弁護士

例えば、ご結婚前に定期預金をして、それが別居時まで解約されていなかった、ということでしたら、その定期預金はご結婚後に取得した財産と混同していないため、特有財産と認められる可能性が高いと思います。
また、定期積金など、残高が経時的に増加していく預貯金も、ご結婚前に積み立てた分と、ご結婚後に積み立てた分を区別できるので、特有財産と認められる可能性が高いです。

相談者
相談者

なるほど。
特有財産と認められない場合は、どのような場合がありますか。

弁護士
弁護士

例えば、結婚前に一定額の普通預金があったとしても、ご結婚後、その口座に頻繁に入出金があると、結婚前から存在した預金と、結婚後に得た預金とが混然一体となってしまいます。
そうなると、結婚前からの預金と結婚後に得た預金を区別することができなくなってしまうので、特有財産とはいえない、と判断されることがあります。

相談者
相談者

なるほど。
単に結婚前にこれだけの預貯金があったと主張するだけでは、特有財産の主張が認められない場合もあるのですね。

弁護士
弁護士

そうですね。
普通預金や通常貯金の場合は、結婚前の預貯金の額、夫婦の同居期間、入出金の経緯や残高の推移などによって、特有財産といえるのかどうかの判断が変わる場合があります。
画一的に結論が出る問題ではありませんが、上記のような観点から、可能な限り、ご結婚前の預貯金が、ご結婚後に得た預貯金と混ざっておらず、区別できることを説明することが重要です。

相談者
相談者

ありがとうございます。
特有財産について、大まかなイメージを持つことができました。
まずは自宅マンションや預貯金について、どれだけ資料があるか確認してみようと思います。

以上のように、財産分与をする場合、特有財産の主張をすることができる場合があります。
今回ご紹介させていただいた他にも、特有財産の主張が認められる場合がありますので、ご心配なことがありましたら、早期に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

初回離婚相談は60分3,300円(税込)となっておりますので、お気軽にご相談ください。

※2023年12月時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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