離婚の知識
不貞による離婚に伴う慰謝料の金額や必要な証拠は?
夫婦が離婚する場合、それに伴い一方が他方に対して慰謝料を請求できる場合があります。今回は、この慰謝料についてお話いたします。

夫と結婚して5年になりますが、夫が不貞をしているようなので、離婚を考えています。離婚に伴い慰謝料を請求できる場合があると聞きましたが、どのような場合に請求できるのでしょうか。

離婚に伴う慰謝料は、配偶者(相手方)に不貞や暴力など婚姻関係の破綻をもたらすに至った違法な有責行為があり、それが原因で離婚をする場合に請求できます。
相手方が不貞をしていたということであれば、慰謝料請求をすることができるでしょう。
慰謝料の金額は、どれくらいになるのでしょうか。
離婚に至る過程や、離婚によって受ける精神的苦痛の程度は個々人によって異なるので、慰謝料の金額に明確な算定式があるわけではありません。
一般的には、①有責性の程度、②背信性の程度、③精神的苦痛の程度、④婚姻期間、⑤当事者の社会的地位、⑥支払能力、⑦未成熟子の存在、⑧離婚後の要扶養といった事情を総合的に考慮して、金額が決定されます。
もちろん例外はありますが、裁判例に照らすと、不貞行為が原因で離婚を余儀なくされた場合の慰謝料は、100万円から300万円程度と判断されることが多いです。
私は、自宅リビングに置いてあった夫の携帯電話を見たところ、女性とLINEで不貞をうかがわせるやり取りをしていたので、夫が不貞をしていると思うようになりました。
ただ、夫に対しては、まだ私が夫と女性とのやり取りを見たことを伝えていませんし、伝えても夫は不貞を否定する気がします。

そうであれば、まずは不貞行為を証明することができる客観的な証拠を確保することが重要です。
相手方に不貞をしているのではないか、と伝えると、不貞の証拠を隠滅されてしまう可能性があるためです。
客観的な証拠とは、どのようなものが考えられますか。

先ほどお聞きした①メールやLINEメッセージの記録も証拠になり得ますが、その他にも②興信所の調査報告書や、③不貞行為を認めた旨の録音データなどが考えられます。
なるほど。では夫に話をする前に、可能な限り証拠を確保しようと思います。
あと、夫も許せませんが、不貞相手の女性も許せません。
不貞相手の女性にも慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。
はい、ご相談者様は相手方と不貞相手の2人に傷つけられたので、相手方と不貞相手には共同不法行為が成立し、ご相談者様は相手方と不貞相手のどちらに対しても慰謝料の支払を求めることができます。
例えば、ご相談者様が支払を受けるべき慰謝料が300万円だった場合、相手方に300万円の支払を求めることも、不貞相手に300万円の支払を求めることも、相手方と不貞相手に連帯して300万円の支払を求めることもできます。
注)相手方と不貞相手に連帯して300万円の支払を求める場合でも、支払を受けられる総額は300万円です。相手方と不貞相手の双方に300万円ずつ、合計600万円の支払を受けられる、ということではありません。

そうなのですね。
私としてはどちらも許せないので、双方に連帯して300万円を請求したいと思います。
少し注意していただきたいのですが、例えば、専ら相手方が不貞相手に対してしつこく関係を迫ったり、間もなく離婚をするなどと言って欺いていたなど、相手方が不貞行為を主導したという事情がある場合には、不貞相手に対する慰謝料請求は認められない、あるいは認められても低額な慰謝料にとどまる、ということもあります。その点は注意が必要です。
なるほど、分かりました。
そうすると、まずは不貞の客観的証拠を確保する必要がありそうですね。
証拠を確保したうえで、また相談したいと思います。
以上のように、離婚に伴い、慰謝料を請求できるかどうか、また、そのために必要な証拠や認められる慰謝料額は、事案によって様々です。
もしご不安なことがございましたら、お早めに専門家にご相談されることをお勧めいたします。
初回離婚相談は60分3,300円(税込)となっておりますので、お気軽にご相談ください。
※2025年12月時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明
弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)
1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。
企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。
愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。
常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。



