モラハラについて
モラハラについて
モラハラとはなにか?

最近、モラル・ハラスメント(モラハラ)という言葉を耳にする機会が増えましたが、一体どのようなものでしょうか。 ごく簡単に申し上げれば、モラハラは、精神的な暴力、嫌がらせを指します。
最近は、配偶者からモラハラを受けたと相談をされる方が増えてきました。
以前は、配偶者から肉体的暴力を受けたということで相談にみえるケースが比較的あったのですが、肉体的暴力に対する社会的非難が高まった現在では、随分そのような事案が減りました。これに対し、モラハラのような精神的暴力は、加害者側に罪の意識ないのか、増加傾向にあると言えます。
モラハラは暴力です
肉体的暴力ではないと言っても精神的暴力も暴力には違いありません。
そのため、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)の1条でも、「配偶者からの暴力」を次のように定義しています。
- 配偶者からの身体に対する暴力
(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの) - ①に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動
モラハラのような精神的暴力は法律上も暴力と定義づけられているわけです。
モラハラの難しさ
モラハラは暴力ですから、これ自体離婚事由になることは肉体的暴力と変わりません。
しかし、モラハラが日常化していると、被害者も加害者もモラハラだと認識できず、見逃されることがあります。
よくあるのが、被害者側が、加害者が悪いにもかかわらず、
「悪いのは自分である。」、「自分さえ我慢すればよい。」
という思い込みをしているケースです。
そのような思い込みをしてしまうのは、

- 加害者と被害者の関係性
- 加害者の攻撃の巧妙さ
などが理由に挙げられるでしょう。
どんな人がモラハラをするの?
モラハラの加害者は、高収入・高額歴の方に多いです。
たとえば、大企業のエリートサラリーマンや医師、上級国家・地方公務員、高度専門職、政治家などです。対して被害者となる妻は専業主婦で無職という場合が多いため、被害者としては加害者に逆らってはいけない、自分が我慢しなくてはならない、と思い込んでしまうのです。
どのようにモラハラをするの?
モラハラの加害者は、言葉による攻撃を効果的に用いることによって、相手を支配していきます。
相手の意見や気持ちを認めず、相手を知的・精神的に服従させます。被害者の方は、相手に服従しているため、自分の考えを伝えることもできなくなってしまいます。
この過程が巧妙であるため、モラハラの被害者はそのような状態に陥っていることを自覚できないでいることが多いです。周囲の方もモラハラの被害を受けていると気づきにくいのが実情です。
子どものためにも、モラハラを断ち切る

以上のように、モラハラの被害にそもそも自覚していない方もいらっしゃいますが、モラハラの被害を自覚してなお、「子どものために」婚姻生活を続ける途を選ぶ方も少なくありません。
たしかに、自分が我慢すれば、婚姻関係は表面的にはうまくいくでしょう。しかし、そのような家庭で子どもが健全に育つか考える必要があります。子どもは、親の姿を見て育つものですから、子ども自身が将来モラハラの加害者になる可能性もあります。実際、モラハラの加害者の両親の話を聞くと、両親もモラハラの特徴があてはまることが散見されます。
結局、我慢して婚姻関係を続けることが実は「子どものために」ならないわけです。
モラハラの被害者は、自分のためだけでなく子どものためにも、モラハラを断ち切っておく必要があります。
モラハラ加害者の言動の特徴
モラハラの加害者には特有の言動があります。
モラハラの加害者は言葉を操るのが得意なのですが(言葉の応酬が激しくなっても意外と冷静に言葉を操る人が多いです。)、ちょっとした嫌みや皮肉、ほのめかしなどが巧みに用いられます。

当事務所にモラハラで相談にみえた方がよく口にされる加害者のフレーズは、「言わなくてもわかるだろう。」「自分で考えろ。」「そんなことも分からないのか。」 などです。
これらのフレーズは、加害者がいくらでも言い逃れができる、不明確な言い回しであり、とても巧妙に言葉を選んでいるな、と感心します。
被害者としては、こういった加害者の微妙な言葉のニュアンスから、加害者の意図を汲み取らなければならないという生活は、大変な精神的負担です。
また、モラハラの加害者は、被害者を常に支配下に置きたがります。被害者が抵抗を示すと、加害者は、支配関係を維持するために、モラハラをエスカレートさせることがあります。被害者が自分の考えや意見を表明しようとするときは、侮辱や嘲弄の言葉を巧みに用いて相手を黙らせることもあります。
加害者の言葉はひとつひとつをとれば、たいした内容ではないのですが、これらを繰り返し用いることで、被害者には精神的な打撃を蓄積されます。
モラハラにどう対処するべきか
このようなモラハラにはどう対処すべきなのでしょうか。
加害者から離れる
まずは離れることです。
上記の通り、モラハラの被害者は、精神的ダメージを受け続けており、やがては心身に支障を来すことすらあります。
そのような状態を継続することは、自分のためにはもちろん、子どものためにもなりません。数十年かけて形成された加害者の人格は容易に修復することはありませんから、被害者の働きかけでどうなるものではありません。
そこで、離婚するかしないはともかく、まずは、加害者から離れることが必要です。
第三者を入れ冷静に話し合う
加害者から離れた上で、落ち着いたら、今後のことを冷静に話し合うため、第三者を間に入れるべきです。円満な関係を復活させたいなら、親や共通の知人を介するのが良いでしょう。
但し、モラハラの加害者がモラハラを自覚してまじめに自己改造に取り組んでくれるかが重要です。一旦は謝罪しても、戻ったら前と変わらない、というのでは意味がありません。
他方、離婚を決意しているのであれば、弁護士や調停委員を介するべきです。
いずれにしても、二人の関係性をふまえると、当事者だけで話し合うことは有害です。
当事務所では、離婚するかどうか決めかねているという方のご相談もお受けしていますので、ご自分で抱え込まず、まずは一度ご相談になることをお勧めします。

あなたのパートナーの言動はモラハラにあたるのか
ここでは、あなたのパートナーの言動がモラハラにあたるのか、簡単な例を挙げておきます。複数該当するようであれば、モラハラを受けていると言えるのではないかと思います。
- せっかく用意した食事を食べようとしなかったり別のものを食べたりする。
- 「こんなことも分からないのか?」と言われる。
- 体調が悪いにかかわらず、事情も聴かず、家事をするよう迫られる。
- 注意すると、逆に「俺がそうするように仕向けたお前が悪い」などと全てを責任転嫁される。
- 家の中が一部でも片付いていないと「一体毎日何をしているのか」と皮肉や嫌味をずっと言い続けられる。
- 目の前で露骨にため息や舌打ちをされる。
- 「誰のお陰で生活できるんだ」と言われる。
- 自分の買い物には甘いのに、こちらの買い物は自由にさせない。
- 休みの度に家族で自分の実家に帰るが、パートナーの実家には寄りつかない
- 生活費を入れてくれない。
- 無視をされる。
- 自分の友人に会うことや趣味で出かけることを極端に嫌われる。
いかがでしょうか。1つにあてはまると面白いように他の事項にも該当することが多いのがモラハラ加害者の言動の特徴です。
ご自分の現状を変えたいのであれば、周囲にご相談頂くのが早期解決の道です。
当事務所もお力になれると思いますので、遠慮無くご相談頂ければと存じます。