離婚の知識
別居や離婚で離れて暮らす子どもと会いたい
どうすれば子供と会えるか
別居や離婚により、子どもと会えなくなってしまった場合、どのような手段を用いればよいでしょうか。
民法において、父母は、離婚に際し、「父または母と子の面会及びその他の交流」について必要な事項について、協議で定めること、また、この協議において、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」ことが規定されています。

このように、法律上は、親と子どもが交流することについて、親の権利であるとも、子供の権利であるとも、明確には規定されていません。
仮に子どもの権利であるとしても、子どもが自ら別居中の親と交流する権利を行使できるわけではなく、また、仮に親の権利であるとして親が子どもと交流する権利を行使しても、子どもと同居する親がこれを妨げることもあります。
このように、親と子の交流の問題は、権利行使の問題ではなく、結局のところ、父母の気持ちと、子どもの気持ちの調整の問題であり、当事者間の話し合いでは、互いの気持ちがぶつかり合い、上手く調整できないことも多いです。
このような調整を図る手段として、「面会交流調停」という手続きがあります。
面会交流調停とは
面会交流調停とは、家庭裁判所に、面会交流に関する取り決めを求める手段です。
この手続きは、離婚前であっても、両親が別居中で、子どもとの面会交流についての話し合いがまとまらない場合においても利用することができます。また、ここでの話し合いは、中立的な立場の「調停委員」が、父母それぞれから交互に、意向を確認するという方法で行われますので、基本的に、父母が同席し、直接意見を交わすということはありません。
面会交流調停においては、「調停委員」のほか、「家庭裁判所調査官」という児童心理等の知見を積んだ裁判所職員が同席し、子どもの年齢、性別、性格、就学の有無、生活のリズム等を考慮し、子どもに精神的な負担をかけることのないように十分配慮して、子どもの意向を尊重した取り決めができるように、話し合いが進められます。
なお、話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続に移行し、裁判官が、これまでの事情を総合的に考慮して、審判により、面会交流に関する取り決めを下すこととなります。
面会交流において留意すべきこと
面会交流の取り決めを行う際、また、面会交流を実施する際には、何よりも、子どもの健全な成長のためを第一に考えることが必須であり、これを依頼者の方に説明すると、頭では理解していただけます。
しかし、どうすれば子どものためになるのか、という具体的な問題になると、必ずしも冷静に考えられず、「子どものため」を、ご自身の都合のよいように解釈してしまうことが多いように思われます。
子どもの健全な成長のためには、何よりも、親側の事情に左右されず、安定した面会交流を実施することが大切です。面会交流を実施する際には、相手方のことを子どもの前で批判したり、過剰なプレゼントを渡したりするなど、子どもを困惑させるような行為をしないよう心掛けてください。
当事務所の親権での解決事例をご紹介させて頂きます
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監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明
弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)
1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。
企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。
愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。
常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。



