お子さんの連れ去りと離婚

お子さんがいる場合の別居の始め方

お子さんがいる場合、別居を始めるハードルは高くなります。

非常によく聞かれる質問が、「相手に黙って子どもを連れて家を出て行き、別居を開始しても問題ありませんか?」というものです。結論として、お子さんを連れて出て行くことが、お子さんにとって不適切ではない限り、問題にはなりません。

一般的には、もっぱらお子さんの面倒をみていたお母さんが、お子さんを連れて実家に帰る形が多いのですが、これが後々不利になることは、ほとんどありません。

他方、子どもを連れて出て行くことを事前に告げると、怒った相手方から暴力を振るわれるようなこともありますので、事案にもよりますが、黙って出て行った方が安全な場合が多いでしょう。

子どもを連れ戻されることはあるか

では黙って出てきた場合、相手にお子さんを連れ戻されてしまうことはあるでしょうか。

例えば、お子さんが保育園などに通っている場合、相手が勝手にお子さんを迎えに行ってしまうことが考えられます。これを防ぐためには、保育園などに対して、決まった人以外が迎えに来ても、絶対にお子さんを引き渡さないよう、事前に強くお願いしておく必要があります。

また、小学生であれば、しばらくは1人で帰らせずに迎えに行くなどの対応をされると望ましいでしょう。

なお、このように無理矢理お子さんを連れ戻すことは、本来認められない行為ですし、このような行動を行うと、将来親権を決定するときに不利になりますので、その旨相手方に通告しておくことも考えられます。

適法な手段として、相手方がとりうるのは、子の引渡しを求める審判などの申立となります。

この手続きでは、お子さんにとって、父母どちらの下で生活することがより適切であるかという観点から、お子さんと同居して、面倒をみる人を決めることになります。

親権への影響

お子さんを連れて行った人が、直ちに親権者となるわけではありませんが、別居中にどちらがお子さんを育てていたかは、親権者を決定する際に大きく影響します。

親権は、離婚する際に必ず決めなければいけないため、父母が親権を巡って激しく対立する場合、離婚はなかなか成立しません。調停から訴訟を経て、離婚が成立するまでに数年かかる例もめずらしくありません。

その間、お子さんは、父母どちらかの元で生活することになりますが、争いが長引けば長引くほど、その環境に適応し、学校生活や友達との人間関係などもお子さんなりに構築されることになります。

このように、お子さんが現在の環境に適応しているという事実は、別居中に面倒をみている親が親権者と指定されるために有利な事情となるのです。

親権者となりたい方へ

以上のとおり、別居中、どちらがお子さんを育てていたかは、親権者を指定する際に影響する事情となりますので、親権者となることを希望する場合には、基本的に、お子さんを連れて出て行った方が有利となります。

逆にお子さんを連れて出て行かれた場合には、子の引渡しを求める法的手続をすみやかにとることが必要になります。

もちろん、親権者は、お子さんの福祉の観点から様々な事情を総合的に考慮して決定されるものであり、これだけで親権者が指定されるわけではありません。

同居期間中から、お子さんの養育をしっかりと行い、お子さんと信頼関係を構築することが大前提となりますので、ご注意ください。

監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明

弁護士 片岡 憲明

弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)

1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。

企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。

愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。

常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。

電話で問い合わせ052-231-1706
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