離婚不受理届について

1 協議離婚は世界的に見て珍しい

わが国では、当事者双方の離婚の合意と戸籍上の届出だけで離婚することができます。

これを協議離婚制度と言います。

協議離婚の制度をとっている国は実はかなり珍しく、日本、韓国、台湾等に限られています。

2 協議離婚の問題

裁判所や公的機関によるチェックなしに当事者の意思と届出だけで離婚が成立してしまうので、一方が他方に無断で離婚届を出してしまうケースもあります。

もちろん、無断で相手方の氏名を記載したり押印をしたりするのは、それ自体犯罪で、許されないことですが、一旦離婚が成立してしまうと、協議離婚無効確認の調停申立て等を行う必要が生じます。

3 不受理申出制度

先ほど述べたとおり、当事者の意思と届出だけで離婚が成立してしまうため、当事者の一方が離婚意思が無かったということが起こりえます。

それは困るということで、戸籍法27条の2で離婚届の不受理申出の制度が定められています。

具体的には、同条3項には、次のような記載があります。「3 何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人とする縁組等の届出がされた場合であつても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第一項の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができる。

要するに、本人の意思確認ができない場合は、離婚届を受理しないように役所に申し出ることができるわけです。

以前は、この不受理届の期間は6ヶ月間という期間制限がありました

しかし、平成20年5月1日以降に申出をしたものから期間の制限がなくなっています(同条4項参照)。

これは戸籍法の改正で期間制限が撤廃されたことによります(従前は戸籍通達によるものでした。)。

ちなみに、不受理申出の用紙は役所に備えてあります

必要事項を記入して署名押印して、夫婦の本籍、または夫婦の所在地の役所に提出するだけですので、非常に簡単な手続で行えます。

郵便で出すこともできるので非常に簡単に不受理届ができますから、是非とも活用して頂ければと思います。

4 どういう場合に不受理届を出すか

不受理届ですが、どういう場合に出すべきなのでしょうか。

たとえば、離婚届に無理矢理サインをさせられてしまったような場合に、本当は離婚意思が無いのに、離婚届出ができてしまうことになります。この場合は不受理届を出しておくべきでしょう。

相手方が強引な人で勝手に離婚届を偽造してしまうような非常識な人の場合はもちろん、不受理届を出すべきなのでしょう。

離婚に異論は無くても、いったん離婚をしてしまうと、婚姻費用が支払われなくなったり不利益が生じます

本当に離婚届にサインをして良かったか、冷静になってよく考え、場合によってはすぐに不受理届を出すべきです。

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