財産分与の際の不動産の価値の決め方

よく離婚交渉や離婚調停においては財産分与の話合いの時に不動産の価値がいくらであるかについてもめることがあります。 ここでは、不動産の価値がどのようにして財産分与で決められるかについてお話をしたいと思います。

1 合意があればそれが優先される

まず、不動産に限りませんが、財産分与の対象財産の価値については、当事者間の合意のある場合には、その合意内容に従い評価することで足ります。当事者がそれでいいと言っているのですから、これは理解できますね。

2 不動産にはいくつかの評価額がある

他方、合意のない場合には、どのようにして不動産の価値を決めるのでしょうか?
不動産の評価額についてはいくつか種類がありますが、代表的なものについて説明します。

  1. 固定資産評価額:毎年お手元に送られてくる固定資産税通知書に記載されている不動産の評価額です。感覚的には時価の5~7割となっていることが多いです
  2. 路線価:相続税を計算するためのものです。時価の6~7割というイメージです。HPに路線図がありますので、そこから調べて計算することができます。但し路線価は土地についてのものですので、建物については路線価というものがありません。その場合は上の固定資産評価額を併用することもあります。
  3. 時価:不動産を市場に流通させたならばいくらで売れるかという観点から決まる金額です

3 基本的には時価

評価額では、上に書いたように①から③の評価がありますが(他にもありますが割愛します。)、①②は不動産の評価額としては低いものです。今あるものを分ける財産分与においてわざわざ低い①②を採用する理由は基本的にありません。よほど市場価値がないもの(たとえば山林)以外は、③の時価で評価するというのが一般的です。

4 不動産の時価をどうやって算定するのか?

不動産の③時価をどうやって算定するか、ですが、少し手間がかかります。
まず、不動産を離婚にあたって処分するような場合、複数の不動産会社から査定を取得して売却予定価額を基準として評価額を決めることになります。
あるいは実際に売れた金額を分けるということになりますから、非常にシンプルです。

これに対して、不動産を処分せず、一方が居住を続ける場合 、双方が不動産業者に査定をとり、中間的な金額で合意をすることも多いです。裁判所が両者の査定の結果をふまえて金額を提案をしそれでそれでまとめることもあります。
なお、きちんと決めるためには、不動産鑑定を利用することも一応考えられます。
しかし、不動産鑑定には高額の費用が掛かりますから、第三者に貸していて賃料が発生する収益物件のような評価の難しい物件であるならともかく、普通の物件にはあまり利用されていないのが現実です。

5 住宅ローン

難しいのは、不動産の時価が出たとしても、住宅ローンをどうするか?です。
多くの事案では住宅ローンが残っている不動産をどうするかが問題となります。
離婚事件はその多くが長い時間をかけて解決するため、別居後も一方が住宅ローンを払い続けることになります。

住宅ローンの取扱については別に詳しく解説しますので、ここでは簡単にどうするのかを説明します。

住宅ローンは別居時の額で固定します。なので、たとえば、不動産の価値が3000万円で、住宅ローンが別居後に2000万円あった場合は、1000万円が不動産の評価額となるイメージです(但し、もっと正確に言うと、今の名古屋家庭裁判所は、この2000万円のローンについては共有財産全体から控除するという通算的な考え方をとっているので、上記の表現は不正確かもしれません。少しマニアックな話なので、法律相談の時や他の機会にご説明します。)。

以上、不動産の評価は少し難しいため、専門家にご相談をされるのがよろしいかと存じます。

監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明

弁護士 片岡 憲明

弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)

1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。

企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。

愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。

常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。

電話で問い合わせ052-231-1706
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