共有財産の内容を調べる方法

離婚において財産分与をする際には、まず、共有財産の内容を確定する必要があります。 しかし、夫婦の共有財産内容については、夫婦双方がしっかりと把握しているとは限りません。

「妻(夫)が一切の財産を管理しているため、自分は、まったく財産内容がわからない。どうしたらよいでしょうか。」というご相談も極めて多いのです。では、このように、共有財産が全くわからない場合、財産分与はどのように行えばよいのでしょうか。

1 第一段階

まずは、自分でできるかぎり、共有財産内容を調べるというのが第一段階です。 通帳や保険証券などは、自宅内の決まった場所に保管されていることが多いでしょうから、探して内容を確認しましょう。

もし見つからなかったとしても、自分の名義の財産であれば、銀行や保険会社などに問い合わせれば、自分の口座の履歴や、保険契約の明細はわかります。

また、財産内容を明らかにするための参考になるような資料、たとえば銀行から届いている郵便物などがないか、探してみることも重要です。

複数の考え方があり得ますし、裁判所の考え方が確定しているとも言えません。

2 第二段階

自分で調べてわからない場合には、相手方に聞くしかありません。
財産分与の協議を進めるにあたり、「把握している夫婦の名義の財産について、明らかにしてください。」と依頼することになります。

このように依頼すると、一定の財産については任意に開示されることがほとんどですが、開示されているものがすべてとは限りません。
一部の財産について隠されている場合もあります。

もちろん、夫婦であったとしても、他人名義の財産については、名義人の許可がない限り、金融機関などが任意に開示することもありません。

3 最終段階

隠されている財産を探す最終手段として、裁判所が行う調査嘱託があります。

調査嘱託を行うためには、基本的には、調査を希望する当事者が、裁判所に対して、「A銀行B支店に対して、この人の名義の口座があるかどうか、口座が存在する場合には、過去1年分の履歴を提出するように調査嘱託をしてください。」という申し立てを行います。

これが認められた場合には、裁判所から、A銀行B支店に対して、調査嘱託をします。
つまり、裁判所に認められない場合には、調査嘱託が実施されないこともあるのです。

また、全銀行に対しての調査嘱託など、対象を特定しない調査嘱託や、大量の調査嘱託はまず認められません。

したがって、調査嘱託を認めてもらうためにも、第一段階の調査において、できるかぎりの資料を収集しておくことが極めて重要となります。

なお、調停では、調査嘱託は認められないことが多いため、どうしても調査嘱託を行いたい場合には、訴訟提起を検討せざるを得なくなることが多くなります。

以上のとおり、訴訟まで行ったとしても、確実に共有財産内容をすべて明らかにするということは、非常に困難ですので、同居期間中にできるかぎり資料を収集しておくことが極めて重要です。

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