その他

夫婦財産契約について教えてください。

私は52歳で、妻とは死別し、子供は26歳と23歳です。今度、ある女性(48歳)と結婚することになりましたが、その再婚相手にも、成人した二人の子供がいます。

私は会社を経営し、年収も4000万円あり、自宅以外に多額の預貯金があり、再婚相手も、マンションを所有し、預貯金を相当持っています。
ある方から、夫婦財産契約を結ぶことを勧められましたが、この点について教えてください。

夫婦財産契約はあまり知られておらず、私も、弁護士になって46年経過しましたが、知人の社長が、再婚に際して、夫婦財産契約したときに関与した一例があるだけです。

しかし、近時、財産のある高い年齢の方や、再婚する方で、夫婦財産契約を利用されている方が増えているようです。
本件事例では、子供が、離婚や相続で、再婚相手に親の財産が行ってしまうことを心配するとか、自分の資産は自分の子供に多く財産を残したい、と考える方が多いと思います。
この要望は、夫婦財産契約によって相当程度解決できます。

以下で、夫婦財産契約の説明をします。
民法755条で、「夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。」として、契約財産制を選択しなかったら、自動的に法定財産制となり、婚姻費用の負担義務、日常家事債務の連帯責任が生じ、帰属不明の財産について、共有財産と推定されます。

ところで、夫婦財産契約で定める基本的内容は次の通りです。
① 夫婦財産の所有関係について、婚姻前・婚姻後に取得する財産が、どちらに帰属し、あるいは共有となるのか。
② 管理処分権の帰属について、夫婦の財産の管理処分権がいずれに帰属し、あるいは夫婦共同で行使するのか。
③ 債務負担に関して、婚姻前・婚姻後の債務は、単独で負担するのか、共同で負担するのか。
④ 婚姻解消時に財産を、どのように清算するのか。
   
通常、離婚時に問題になるのは、共有財産特有財産かという点です。

例えば、一方が経営する会社の株式、会社への貸付金等、事業に関する財産は特有財産としておき、離婚後の財産分与からも除外することが考えられます。開業医や、優良会社で株価が高い会社の経営者の場合、特に検討する価値があります。

その他、財産分与割合についても、利用を検討すべきです。

本来、財産分与割合は2分の1ですが、婚姻後短期間で離婚する場合、不貞行為により離婚する場合などに、この割合を修正することが考えられるべきでしょう。
また、開業医や、経営能力・才能が高い経営者などのような高額所得者の場合には、基本割合自体を変更しておくことも考えられます。最近の裁判所も、このような場合、必ずしも半分ずつに分けない審判例もありますが、契約により明確にしておいた方がよいでしょう。
ただ、どのような決め方をすれば有効になるかは、かなり検討を要するし、裁判所の判断の集積を待たなければならないでしょう。

月刊東海財界 2023年1月号掲載

夫と死別しても夫の両親とは親族関係にあるとのことですが、その関係を終了させることはできますか?

私の夫は、5年前死亡しました。当時、夫の両親と、子供(当時5歳と7歳)の6人で同居していました。夫の両親との折り合いが悪く、夫の死後1年で子供を連れて実家へ戻りました。
その後、縁あって、昨年現在の夫と再婚し、子供とも養子縁組をしました。聞くところによると、夫と死別しても、夫の両親とは親族関係にあるとのことですが、その関係を終了させることはできるのでしょうか。

民法では、親族とは、「6親等内の血族と、配偶者および3親等内の姻族」である、と規定されています。

血族とは血縁関係にある人を指しますが、民法上の血族には、生物学上の血族である自然血族と、養子縁組したときに成立する、法律上の法定血族があります。

自然血族に該当するのは、両親、兄弟姉妹、祖父・祖母、いとこなどです。

法定血族に該当するのは、養親と養子です。養子の実の親と養親には親族関係が生じません。

姻族とはあまり普段聞き慣れない言葉かもしれませんが、結婚して成立する関係で、世間的に、義理の父母と言うように、配偶者と、その配偶者の両親などの血族との関係を指します。
姻族に該当する関係は、①配偶者の父母、②配偶者の祖父・祖母、③配偶者の父母の兄弟、配偶者の兄弟などです。

親等とは、親族関係の遠近を表す単位です。父母は1親等、祖父母・孫は2親等、兄弟姉妹は2親等、叔父・叔母と甥・姪は3親等、いとこは4親等になります。

今回のケースでは、相談者は夫が死亡した当時、夫の両親と同居していますので、同居の親族となります。この場合、よく問題となるのは、相談者が将来も、夫の両親の世話をしなければならないか、です。民法第730条では「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」との規定があります。他方、民法877条1項では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。この「扶け合い」と「扶養義務」との関係については分かりにくいです。「扶養義務」は法的義務ですが、「扶け合い」は法的義務ではないと考えられています。相談者が、夫の両親と別居すれば、「同居の親族」ではなくなるので、「扶け合い」の関係から外れます。

これとは別に、姻族関係終了届という制度があります。これは、相談者のように、配偶者が死亡したのちに、その両親(姑舅)との親族関係を終わらせるための届け出です。死後離婚とも言われます。

相談者は、配偶者が亡くなると、当然夫婦の婚姻関係は終了しますが、配偶者の血族との姻族関係は継続します。姻族関係が継続していると、その後も、夫の両親の世話をしなければならないのではないか、との圧力を感じることがあります。このような心配から解放されるために、姻族関係終了届を提出して姻族関係を終了させることができます。これはいつでも提出できます。なお、死亡した人の血族が、姻族関係終了届を提出することはできません。

この届を提出しても、相談者の子供と、夫の両親との祖母・祖父関係については影響がありません。

月刊東海財界 2022年12月号掲載

元夫との間で慰謝料と養育費を支払う約束をしましたが、公正証書にしたほうが良いですか?

先日、娘が離婚しました。元夫との間で慰謝料と養育費を支払う約束をしましたが、公正証書にしたほうが良いと言われました。そのとおりですか?
また、公証人の取扱業務について教えてください。

離婚に伴って、公正証書を作成した方が良いか、とよく尋ねられます。たしかに、強制執行認諾文言付きの公正証書で、金銭を支払う旨を約束しておくと、確定した判決と同じ効力がありますので、裁判などしなくても、元夫の給料や預貯金等の財産を差し押さえることができます。

ところで、日本公証人連合会のホームページに、公証人の制度や、職務内容がされており、それに基づき説明します。
そもそも、日本には公証人役場が約300か所あり、公証人は約500人います。
公証人役場は、愛知県に、名古屋市3か所、春日井市、一宮市、岡崎市、豊田市、豊橋市、新城市、西尾市、半田市、岐阜県には、岐阜市、大垣市、美濃加茂市、多治見市、高山市、三重県には、津市、四日市市、伊勢市、伊賀上野市、松阪市にあります。
公証人が一人だけというところが多いですが、名古屋市の葵町公証人役場だと8人、名古屋駅前公証人役場だと4人います。公証人は、国家公務員法上の公務員ではありませんが、公証業務を行うことで実質的な公務員です。高度な法的知識と、豊富な法律実務経験を有していることが必要なので、裁判官、検察官、法務省の局長クラスの方から、法務大臣が任命しています。

公証人が行う公証事務として、多いのは、公正証書遺言の作成で、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が作成します。
また、金銭消費貸借作成もよく利用されています。

最近、土地建物賃貸借の定期借地権設定や、事業用定期借地権設定が、公正証書で作成されることが目立ちます。これにより、賃貸借の法定更新、建物の再築による存続期間の延長、建物の買取請求権に関する法の規定は、適用されなくなります。
任意後見契約も、高齢化社会がどんどん進み、その財産管理の必要性が高くなってきたことから、財産管理契約とセットになって、公正証書で作成されることが増えてきました。

その他に、公証人は、私署証書の認証外国文認証宣誓認証定款認証(会社の設立に関して必要)、確定日付(文書がその日に存在していたことを証明)を押捺します。

その他に、一般的に知られていませんが、事実実験公正証書というものがあります。公証人は五感の作用により直接体験(事実実験)した事実に基づいて、公正証書を作成することができ、これを事実実験公正証書と呼んでいます。これは、証拠を保全する機能を有します。
具体的には、ある方が死亡して、貸金庫を開扉する場合、公証人にその内容物を確認してもらう、ということに利用されます。ただ、最近利用しようとしたとき、立会者の制限、委任状の提出、費用等で不便がありました。

月刊東海財界 2022年8月号掲載

在日韓国人同士の離婚は、日本でできますか?

私は在日韓国人です。妻も在日韓国人で、5年前に結婚し、子供が2人いますが、この度、性格がどうしても合わないため離婚することになりました。私も妻も韓国語は全く分かりません。それほど争いもないので、日本の民法に従って協議離婚するつもりでいましたが、それで正しいでしょうか。

日本人と外国人との離婚が、90年代から急速に増え、全離婚の占める割合は、06年に6.12%とピークを迎え、その後減少傾向にあり、19年には3.66%となっています。夫が日本人で妻が外国人という組合せが圧倒的に多く、国別では中国人、フィリピン人、韓国人という順になっています。私の事務所では、日本人と韓国人、中国人との離婚事件を何件も担当してきましたが、この場合は日本法が適用されます。メンタリティーの違いから、解決が困難だと感じることはあります。

今回のような韓国人同士の離婚事件も担当することが時々あり、現在も継続中の事件があります。中国人同士の離婚訴訟も経験がありますが、中国で離婚登記をするまでにはかなりの困難があります。

まず、韓国人夫婦の離婚につき適用される法律は、日本法ではなく韓国法です。どの国の法律が適用されるかは、準拠法とよばれますが、「法の適用に関する通則法」という法律で決められています。
また、これとは別に、国際的な民事紛争の裁判をどの国で行えるのかという問題(国際裁判管轄)もありますが、ここでは説明は省略しますが、今回のケースは日本の裁判所で裁判することになります。

ところで、韓国人同士が協議離婚を選んで、日本の市区町村へ届け出して離婚できるでしょうか。韓国法では、協議離婚を認めていますが、日本とは異なり、いきなり家族関係登録簿に離婚の事実は登載できません。裁判所の確認が必要とされています。日本においても現在では、裁判所の確認は、離婚の実質的な要件と考えられて、日本の市区町村では韓国人同士の協議離婚届出は受理されないことになっています。

在日韓国人の場合、協議離婚届出をする上で、韓国の裁判所に出向いて確認の手続きを取ることが困難なため、韓国大使館か韓国総領事館(名古屋市にあります)で、裁判所の確認に代わる手続きが用意されています。

ただ、財産分与や慰謝料、養育費などで争いがある場合や、夫婦そろって韓国総領事館などに出向くのが難しいケースには、日本の家庭裁判所の調停を利用して、調停が成立すれば、韓国においても、裁判所の確認を経たものとして、離婚が正式に受理されます。

調停離婚成立後、韓国総領事館に在留資格証明書などの身分証明書を提示して、離婚調書及び韓国語翻訳文と、双方の家族関係証明書を提出すれば、韓国の家族関係登録簿に離婚の事実が登載されます。 なお、韓国では戸籍制度が廃止され、2008年からは家族関係登録制度が採用されています。

月刊東海財界 2022年1月号掲載

同性カップルの事実婚は、男女間と同じように法的保護が認められるのか?(LGBT)

私は現在50歳で、バツイチです。

実は1年前、35歳の女性Aさんと交際を始め、結婚を前提に同棲を開始しました。私は、AさんはBさんと、同居していることは知っていましたが、最近になって、Bさんから、私達はLGBTで、結婚式も挙げていた、幸せな結婚生活を送っていたのに、その関係を壊されたので、慰謝料請求をすると言われました。私とAさんは応じなければならないでしょうか。

最近、自民党が、「日本がちゃんと多様性を認める、そして寛容な社会を作っていく」との号令の元、LGBTなどに対する理解増進に向け、超党派の議員連盟で、同性婚を認める法案の審査を行いました。しかし、法案に反対する議員が大勢を占めた、とのことでした。

同性婚は、2001年4月にオランダで初めて認められ、欧米諸国を中心に拡大し、19年5月には台湾で同性婚法が施行されました。
日本ではそこまでは至っていませんが、15年、渋谷区が同性カップルにパートナーシップ証明書を発行する条例を施行し、78の自治体にも広がっています。

19年2月に、国が同性婚を認めないのは、婚姻の自由などを保障する憲法に違反するとして、札幌、東京、名古屋、大阪地裁で一斉に提訴されました。そして、今年3月17日、札幌地裁において、同性婚が認められないことは、憲法14条の「法の下の平等」に照らし違憲だ、との判断を示しました。

今回のご相談のケースは、このような最近の世論や、裁判の流れの延長線上にある事例だと思います。

実は、昨年、東京高裁で、本件と同じような事例で判決が言い渡されています。
その事例は、甲と乙とは、平成22年2月から同居を始めて、平成26年12月ニューヨーク州法に基づき婚姻して、婚姻登録証明書を取得し、その後日本でも結婚式を挙げました。甲と乙とは子供を育てたいと思い、乙において精子提供を受けることにして、SNSを通じて精子提供者を募ったところ、丙が応じて精子を提供しましたが、その後乙と丙が親しくなって、結果的には甲と乙との婚姻関係が破綻した、という内容でした。

この主な争点は、同性の事実婚が法的保護を受けられるか否か、にあります。

一審は、「同性の事実婚の実態に着目して、男女間の内縁関係と同視できる生活関係にあるものについては、内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められる」として、100万円の支払を認めました。しかし、については、「甲と乙との関係を破綻させることを意図していたと認められない」としました。

高裁判決は、結論は同じですが、「夫婦としての生活を営む結合としての婚姻に準ずる関係にあった」と、一歩突っ込んだ理由を付けています。
ご相談のケースについて、貴方が、AさんとBさんとが、婚姻生活に準ずる関係にあったことを知って、その関係を壊した、と判断されれば、Aさんと共に、損害賠償責任を負うことになりそうです。

月刊東海財界 2021年7月号掲載

離婚したら住宅ローンは払わなくてよい?

私たち夫婦は5年前に住宅ローンを組んで一戸建てを購入しました。

夫が3500万の借入をし,私も連帯保証人になっています。

このたび離婚することになり,夫が自宅に住み続け,私は出て行くことになりました。

離婚したという理由で,私は連帯保証人から外してもらえるのでしょうか。

離婚して,自宅にも住まない以上,住宅ローンを払いたくない,と思われるのはもっともです。

しかし,一度連帯保証人として署名押印した以上,離婚によって連帯保証人の地位が変更されることはありません。

連帯保証人から外して欲しいと金融機関に相談することはできますが,実際に外すかどうかは金融機関の自由であって,強制することはできません,

もちろんご主人と話し合い,夫婦の間で,きちんとご主人が払うようにする,という約束をすることはできますが,そのような約束をしても,連帯保証人の地位には何ら影響しません。

したがって,ご主人がローンの支払いを怠った場合には,金融機関から支払いを求められてしまうことになります。

内縁関係とは?

私は,交際している男性と15年ほど同居しています。

色々と事情があるために籍は入れていないのですが,夫婦として生活しており,お互い親族への挨拶もしています。

婚姻届は提出していないけれど,私たちのように夫婦として生活している場合,法律上はどのように扱われるのでしょうか。

 

婚姻届は提出していないものの,お互いに婚姻の意思をもって,実際に夫婦として生活している場合を,「内縁」関係にあるといいます。

法律上の婚姻関係とは異なり,どちらかが氏を変更して夫婦が同じ氏を使う,ということにはなりません。

夫婦のどちらかが死亡した場合でも,配偶者としての相続権はありません。

また,子どもが産まれた場合,独身女性が出産した子どもということになりますから,親権は原則として母親の単独親権となります。

他方,法律上の夫婦と同様,同居・協力・扶助義務はありますし ,貞操義務もあります。

また,夫婦どちらかが交通事故などにより亡くなった場合,他方の当事者には固有の慰謝料請求権(民法711条)が認められるのですが,この規定も内縁の場合に準用されます。

離婚後でも慰謝料請求はできる?

夫から,私とは性格が合わないので一緒にやっていけない,離婚してほしいと言われました。

協議の末,離婚届を提出したのですが,離婚後,実は夫に交際している女性がいたことがわかりました。

性格の不一致など単なる口実で,その女性と再婚したかったのだと思います。

夫を問い詰めて慰謝料を請求したところ,もう離婚したんだからおまえには関係ないと言われてしまったのですが,離婚してしまったら,もう慰謝料は請求できないのでしょうか。

 

ご主人が,婚姻中から女性と交際していたのであれば,ご主人の不貞行為になりますので,不法行為として慰謝料が請求できます。

交際が発覚したのが離婚後であったからといって,不貞行為の違法性がなくなったり,慰謝料を請求する権利が消滅したりするわけではありません。

ただし,ご主人から,交際を開始したのは離婚後であると主張されることが考えられますので,婚姻期間中から交際していたことが明らかとなる証拠を揃えておくことが必要です。

もちろんご主人だけでなく,交際相手の女性に対しても慰謝料請求が可能です。

話し合いによる解決が難しい場合には,調停または訴訟手続により請求することになります。

なお,不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は,損害及び加害者を知ったときから3年ですので,ご注意下さい。

 

離婚慰謝料はいくらもらえるの?

主人が浮気していることが発覚したため,離婚しようと思います。

主人は会社員で,年収は約1500万円あります。

主人の責任で離婚することになった場合には,慰謝料として,年収の何割かがもらえると決まっていると聞いたことがありますが,本当でしょうか。

夫婦の一方の有責行為によって,やむを得ず離婚に至った場合,そのために被る精神的苦痛について,慰謝料の請求が認められます。

この慰謝料とは,厳密には離婚原因となった行為(本件の場合は浮気)から生じる精神的苦痛に対する慰謝料と,離婚により配偶者としての地位を喪失することに対する慰謝料に分けられますが,両者を一括して処理されることが多いです。

慰謝料の相場に関するご質問はよくありますが,慰謝料の金額は,①相手方の有責性の程度,②婚姻期間の長短,③相手方の資力などを総合考慮して決められるものであり,年収の何割,などという明確な基準はありません。

事案によって金額は大きく異なっており,50万円程度の場合も,500万円程度の場合もあります。

なお,相手方が有責であることを立証しなければなりませんので,ご主人が浮気しているのであれば,確実な証拠を揃えておくことが必要です。

 

離婚後も今の夫の名字を使うことができる?

夫と協議離婚することになりました。

職場の同僚や友人との関係もあるので,離婚後も夫の名字を名乗り続けたいのですが,可能でしょうか。

また,その後旧姓に戻りたくなったときには,すぐに戻ることができるのでしょうか。

 

離婚した際には,旧姓に戻るのが原則です(民法767条1項)。

もっとも,ご質問のように,仕事や家庭の事情から,婚姻時の姓をそのまま使用したいという方がいらっしゃるため,法律では,離婚の日から3か月以内に届け出をすれば,婚姻時の姓をそのまま使用することもできると定められています(同条2項)。

具体的には,離婚の日から3か月以内に,「離婚の際に称していた氏を称する届」という書類を役所に出すことになります。

単に役所に届け出るだけなので,手続としては比較的簡単といえます。

しかし,婚姻時の姓を使用してしばらく生活した後は,届け出により簡単に旧姓に戻ることはできず,家庭裁判所に,「氏の変更の許可の申立」をする必要があります。

変更が認められるためには,「やむを得ない事由」があると認められること,つまり,氏の変更をしないと,社会生活において著しい支障をきたすと認められることが必要です。

旧姓に戻る場合には,「やむを得ない事由」について比較的緩やかに認められていますが,100%認められるわけではありませんので,離婚の際には,婚姻時の姓を使うか,旧姓に戻るか,よく考えて決めて下さい。

 

電話で問い合わせ052-231-1706
       
離婚相談票
PAGETOP

離婚相談票