離婚に関するQ&A

元夫との間で慰謝料と養育費を支払う約束をしましたが、公正証書にしたほうが良いですか?

先日、娘が離婚しました。元夫との間で慰謝料と養育費を支払う約束をしましたが、公正証書にしたほうが良いと言われました。そのとおりですか?
また、公証人の取扱業務について教えてください。

離婚に伴って、公正証書を作成した方が良いか、とよく尋ねられます。たしかに、強制執行認諾文言付きの公正証書で、金銭を支払う旨を約束しておくと、確定した判決と同じ効力がありますので、裁判などしなくても、元夫の給料や預貯金等の財産を差し押さえることができます。

ところで、日本公証人連合会のホームページに、公証人の制度や、職務内容がされており、それに基づき説明します。
そもそも、日本には公証人役場が約300か所あり、公証人は約500人います。
公証人役場は、愛知県に、名古屋市3か所、春日井市、一宮市、岡崎市、豊田市、豊橋市、新城市、西尾市、半田市、岐阜県には、岐阜市、大垣市、美濃加茂市、多治見市、高山市、三重県には、津市、四日市市、伊勢市、伊賀上野市、松阪市にあります。
公証人が一人だけというところが多いですが、名古屋市の葵町公証人役場だと8人、名古屋駅前公証人役場だと4人います。公証人は、国家公務員法上の公務員ではありませんが、公証業務を行うことで実質的な公務員です。高度な法的知識と、豊富な法律実務経験を有していることが必要なので、裁判官、検察官、法務省の局長クラスの方から、法務大臣が任命しています。

公証人が行う公証事務として、多いのは、公正証書遺言の作成で、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が作成します。
また、金銭消費貸借作成もよく利用されています。

最近、土地建物賃貸借の定期借地権設定や、事業用定期借地権設定が、公正証書で作成されることが目立ちます。これにより、賃貸借の法定更新、建物の再築による存続期間の延長、建物の買取請求権に関する法の規定は、適用されなくなります。
任意後見契約も、高齢化社会がどんどん進み、その財産管理の必要性が高くなってきたことから、財産管理契約とセットになって、公正証書で作成されることが増えてきました。

その他に、公証人は、私署証書の認証外国文認証宣誓認証定款認証(会社の設立に関して必要)、確定日付(文書がその日に存在していたことを証明)を押捺します。

その他に、一般的に知られていませんが、事実実験公正証書というものがあります。公証人は五感の作用により直接体験(事実実験)した事実に基づいて、公正証書を作成することができ、これを事実実験公正証書と呼んでいます。これは、証拠を保全する機能を有します。
具体的には、ある方が死亡して、貸金庫を開扉する場合、公証人にその内容物を確認してもらう、ということに利用されます。ただ、最近利用しようとしたとき、立会者の制限、委任状の提出、費用等で不便がありました。

月刊東海財界 2022年8月号掲載

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

                       

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