離婚に関するQ&A

夫と死別しても夫の両親とは親族関係にあるとのことですが、その関係を終了させることはできますか?

私の夫は、5年前死亡しました。当時、夫の両親と、子供(当時5歳と7歳)の6人で同居していました。夫の両親との折り合いが悪く、夫の死後1年で子供を連れて実家へ戻りました。
その後、縁あって、昨年現在の夫と再婚し、子供とも養子縁組をしました。聞くところによると、夫と死別しても、夫の両親とは親族関係にあるとのことですが、その関係を終了させることはできるのでしょうか。

民法では、親族とは、「6親等内の血族と、配偶者および3親等内の姻族」である、と規定されています。

血族とは血縁関係にある人を指しますが、民法上の血族には、生物学上の血族である自然血族と、養子縁組したときに成立する、法律上の法定血族があります。

自然血族に該当するのは、両親、兄弟姉妹、祖父・祖母、いとこなどです。

法定血族に該当するのは、養親と養子です。養子の実の親と養親には親族関係が生じません。

姻族とはあまり普段聞き慣れない言葉かもしれませんが、結婚して成立する関係で、世間的に、義理の父母と言うように、配偶者と、その配偶者の両親などの血族との関係を指します。
姻族に該当する関係は、①配偶者の父母、②配偶者の祖父・祖母、③配偶者の父母の兄弟、配偶者の兄弟などです。

親等とは、親族関係の遠近を表す単位です。父母は1親等、祖父母・孫は2親等、兄弟姉妹は2親等、叔父・叔母と甥・姪は3親等、いとこは4親等になります。

今回のケースでは、相談者は夫が死亡した当時、夫の両親と同居していますので、同居の親族となります。この場合、よく問題となるのは、相談者が将来も、夫の両親の世話をしなければならないか、です。民法第730条では「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」との規定があります。他方、民法877条1項では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。この「扶け合い」と「扶養義務」との関係については分かりにくいです。「扶養義務」は法的義務ですが、「扶け合い」は法的義務ではないと考えられています。相談者が、夫の両親と別居すれば、「同居の親族」ではなくなるので、「扶け合い」の関係から外れます。

これとは別に、姻族関係終了届という制度があります。これは、相談者のように、配偶者が死亡したのちに、その両親(姑舅)との親族関係を終わらせるための届け出です。死後離婚とも言われます。

相談者は、配偶者が亡くなると、当然夫婦の婚姻関係は終了しますが、配偶者の血族との姻族関係は継続します。姻族関係が継続していると、その後も、夫の両親の世話をしなければならないのではないか、との圧力を感じることがあります。このような心配から解放されるために、姻族関係終了届を提出して姻族関係を終了させることができます。これはいつでも提出できます。なお、死亡した人の血族が、姻族関係終了届を提出することはできません。

この届を提出しても、相談者の子供と、夫の両親との祖母・祖父関係については影響がありません。

月刊東海財界 2022年12月号掲載

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

                       

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