Q&A よくある質問
離婚に関するQ&A
夫婦財産契約について教えてください。
私は会社を経営し、年収も4000万円あり、自宅以外に多額の預貯金があり、再婚相手も、マンションを所有し、預貯金を相当持っています。
ある方から、夫婦財産契約を結ぶことを勧められましたが、この点について教えてください。
夫婦財産契約はあまり知られておらず、私も、弁護士になって46年経過しましたが、知人の社長が、再婚に際して、夫婦財産契約したときに関与した一例があるだけです。
しかし、近時、財産のある高い年齢の方や、再婚する方で、夫婦財産契約を利用されている方が増えているようです。
本件事例では、子供が、離婚や相続で、再婚相手に親の財産が行ってしまうことを心配するとか、自分の資産は自分の子供に多く財産を残したい、と考える方が多いと思います。
この要望は、夫婦財産契約によって相当程度解決できます。
以下で、夫婦財産契約の説明をします。
民法755条で、「夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。」として、契約財産制を選択しなかったら、自動的に法定財産制となり、婚姻費用の負担義務、日常家事債務の連帯責任が生じ、帰属不明の財産について、共有財産と推定されます。
ところで、夫婦財産契約で定める基本的内容は次の通りです。
① 夫婦財産の所有関係について、婚姻前・婚姻後に取得する財産が、どちらに帰属し、あるいは共有となるのか。
② 管理処分権の帰属について、夫婦の財産の管理処分権がいずれに帰属し、あるいは夫婦共同で行使するのか。
③ 債務負担に関して、婚姻前・婚姻後の債務は、単独で負担するのか、共同で負担するのか。
④ 婚姻解消時に財産を、どのように清算するのか。
通常、離婚時に問題になるのは、共有財産か特有財産かという点です。
例えば、一方が経営する会社の株式、会社への貸付金等、事業に関する財産は特有財産としておき、離婚後の財産分与からも除外することが考えられます。開業医や、優良会社で株価が高い会社の経営者の場合、特に検討する価値があります。
その他、財産分与割合についても、利用を検討すべきです。
本来、財産分与割合は2分の1ですが、婚姻後短期間で離婚する場合、不貞行為により離婚する場合などに、この割合を修正することが考えられるべきでしょう。
また、開業医や、経営能力・才能が高い経営者などのような高額所得者の場合には、基本割合自体を変更しておくことも考えられます。最近の裁判所も、このような場合、必ずしも半分ずつに分けない審判例もありますが、契約により明確にしておいた方がよいでしょう。
ただ、どのような決め方をすれば有効になるかは、かなり検討を要するし、裁判所の判断の集積を待たなければならないでしょう。
月刊東海財界 2023年1月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
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