Q&A よくある質問
離婚に関するQ&A
不倫した配偶者からも離婚請求できる?
夫を問い詰めたところ,交際している事実を認めたのですが,その女性と結婚したいから,離婚してくれと切り出されました。
私としては,7歳と5歳の子どももいますし,腹立たしいので,一生離婚するつもりはありません。
夫の身勝手な言い分は通らないと思いますが,私が拒否していても,離婚が成立してしまうことはあるのでしょうか。
自分で夫婦関係を破綻させながら,離婚を求めるというのは,一方的であり,裁判所もかつては,このように夫婦関係を破綻させたことにつき主たる責任がある配偶者(「有責配偶者」といいます。)からの離婚請求は原則として認めませんでした。
しかし,最高裁で初めて有責配偶者からの離婚請求を認める判決(最高裁昭和62年9月2日判決)が出されてからは,有責配偶者からの離婚請求が認められる例も出てきました。
この判決は,離婚請求を認めるにあたって,以下のような3つの要素を考慮しました。
①夫婦の別居が,年齢や同居期間と対比して相当長期間に及んでいること
②夫婦の間に未成熟の子がいないこと
③離婚を認めることにより,相手方が苛酷な状況に置かれるなど,離婚を認めることが著しく社会正義に反するといえるような事情があること
本件の場合,①の要件があるため,最低でも6年程度は別居期間が継続することが必要ですが,奥さんが離婚を拒絶しているからといって,絶対に一生離婚しないでいられるというわけではありません。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
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監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明
弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)
1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。
企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。
愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。
常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。



