離婚に関するQ&A

婚姻費用から住宅ローンは差し引ける?

私は,現在35才の会社員で,5年前に結婚し,妻と2才の長男と,名古屋市内の一軒家に住んでいました。

自宅は,3年前に購入したもので,住宅ローンを月10万円返済しています。

最近妻との関係が悪化したために離婚を決意し,現在私が単身自宅から出て,職場近くのアパートで生活しています。

住宅ローンは別居後も私が返済しているのですが,妻からは,住宅ローンとは別に,婚姻費用の支払を請求されています。

住宅ローンとして10万円も払っているため,正直私の生活も苦しいのですが,さらに婚姻費用を支払わなければならないのでしょうか。

住宅ローンの支払いには,資産形成のための費用という側面と,住居確保のための費用という側面があります。

婚姻費用を算定するにあたり,①誰が住宅ローンを支払っているか,②誰が住宅に居住しているのか,という点から,住宅ローンの考慮の有無及び金額を考える必要があります。

婚姻費用には,住居費分が含まれていますが,今回は,住宅ローンを夫が払うことにより,妻は,自分が居住している住居の費用を支払わずに済んでいるということになります。

したがって,基本的には,婚姻費用の算定にあたって住宅ローンの金額を考慮すべきといえます。

具体的にどのように考慮すべきかは,判例も分かれています。

単純に夫の収入額から住宅ローンの支払額を控除して算定する例,婚姻費用に含まれている妻の標準的住居費分を,婚姻費用から控除する例などがあります。

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

                       

婚姻費用」カテゴリーの他の質問はこちら

他のカテゴリー一覧はこちら

監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明

弁護士 片岡 憲明

弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)

1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。

企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。

愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。

常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。

電話で問い合わせ052-231-1706
離婚相談票
PAGETOP

離婚相談票