Q&A よくある質問
離婚に関するQ&A
離婚調停中の妻の財産を調べる方法はありますか?
ところが、妻は預金が200万円しかないと言っています。財産をどこかに隠していると思いますが、調べる方法はありますか。
離婚において、財産分与は一番もめる論点です。双方とも正直に、自分の管理している預貯金、株式等の有価証券、生命保険、金などの財産を開示すれば、スムーズに進みますが、財産を隠す場合が少なくありません。
お互いに、相手方の財産につき、財産開示を求めることになりますが、これを拒否することがあります。
例えば、自分は離婚をしたくないし、離婚原因がないから、離婚は認められないので、財産開示をしない、と反論することがあります。しかし離婚訴訟の場合でも、離婚原因の審理と付帯処分事項である財産分与に関しては、審理は並行して行われます。離婚原因が認められる場合に、初めて財産分与の審理に進むという先後関係はありません。調停でも同様で、裁判所は、開示を拒否する配偶者にも財産開示を求めます。
その他にも、財産分与対象財産の存在は、財産分与請求をする権利者の方に証明責任があるから、任意に開示する必要はない、と言って頑張る人もいます。確かに財産分与を主張する側に証明責任がありますが、調査嘱託申立により財産調査をすることができますから、裁判所も財産開示をするよう強く促します。また不誠実な財産開示拒否をすると、裁判所の心証も悪く、不利益な判断をされることがあり得ます。
次に、調査嘱託申立の説明をします。
申し立ての前にまずは、相手方に対して、できる限り具体的に財産開示を求めます。例えば○○銀行に預貯金がある、○○証券会社で株式取引をしている、○○生命保険会社に掛け捨てではない保険がある、勤務先での財形貯蓄がある、退職金が支給される、などと指摘して開示を求めます。
それでも、任意に開示しない場合には、それらの金融機関、証券会社、生命保険会社、勤務先等につき、裁判所へ調査嘱託の申立をして、調査を申し立て回答してもらうことができます。多くの場合、ここまですれば、任意に開示することが多いとは思います。
相手方の預貯金について、金融機関、証券会社などに調査嘱託申立する場合には、支店を特定したうえで、蓋然性を具体的に疎明して申し立てることにより裁判所は採用します。従って、まったく当てずっぽうで申し立てると、探索的だという理由で採用してもらえません。しかも、調査事項として認められるのは原則として、基準時点での残高のみです。
その前に預貯金などを、他の預金口座等に資金移動している疑いがある場合には、過去にさかのぼって取引履歴を調査する必要はあるのですが、具体的に疎明しないと、裁判所は認めてくれません。私の経験では、最長で別居前2、3年でした。
月刊東海財界 2023年4月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
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