離婚に関するQ&A

養育費の請求権を放棄したらどうなる?

先日,協議離婚をし,私が3歳の長女の親権者となりました。

離婚の際に,夫が,「長女に興味はないので,今後会うつもりはない。そのかわりに養育費も払わない。」と主張したので,夫に養育費は請求しないという合意をしました。

しかし,離婚して3か月後に解雇されてしまい,現在はどうにも生活がなりたたない状況です。

そこで夫には養育費を払ってほしいのですが,1度約束してしまった以上,やはり養育費を請求することはできないでしょうか。

養育費は,子どもを扶養するための費用です。

子どもは,親に対して扶養を請求する権利をもっており,これを親が勝手に放棄することはできません。

したがって,子どもから父親に対して扶養料を請求すること自体は可能といえます。

ただし,養育費を父親に請求しないという父母の合意が全く無意味なわけではありません。

このような合意がある場合,合意後に合意当時の事情が変わったか否かや,合意が子どもの福祉を害するものであるかどうか,という見地から,扶養料の請求が認められるか否かを判断する判例が多くなっています。

今回の場合,失職という事情がありますので,扶養料の請求は認められる可能性が高いでしょう。

ご主人が養育費の支払いに応じてくれない場合には,家庭裁判所に,お子さんを申立人として,扶養請求の調停を申立てることが考えられます。

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

                       

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監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明

弁護士 片岡 憲明

弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)

1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。

企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。

愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。

常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。

電話で問い合わせ052-231-1706
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