Q&A よくある質問
離婚に関するQ&A
離婚協議中で別居中ですが、子供と面会交流することはできますか?
離婚して、子供が一方の親と暮らすようになった時でも、他方の親は子供と会う権利(面会交流権)があります。離婚しておらず、両親が別居中であっても、面会交流する権利があります。
かなり昔ですが、離婚で揉めていると、子供への面会を拒否し、それが認められるケースが多かったです。しかし、その後は、子供の親権者は母親がなることが一般的になり、父親は子供に面会交流できるという原則が確立していきました。子どもとの面会交流は,子どもの健全な成長を助けるもので、子供にとっても両親の愛情の下で育っていくことが、健全な姿であると、理解されるようになってきました。
ただ、面会交流を拒否する事例もあるので、その場合は家庭裁判所へ面会交流の調停を申し立てることをお薦めします。調停は、収入印紙、切手を納めるだけで、費用は安いです。通常、男女の調停委員2人が間に入って、話し合いでの解決を目指します。
普段から虐待していたとか、子供に面会させることが望ましくないケースでない限り、裁判所は原則として、面会交流を認める方向で、説得をします。従って、ほとんど面会交流を認める方向で調停が成立します。しかし、どうしても面会交流を認めない場合は、裁判所が事実調査などをして、審判により、面会交流を命じることになります。
しかし、面会交流を認める審判にも従わない場合(調停で定めた面会交流の約束を守らないときも同様です)には、まず家庭裁判所が、「履行の勧告」といって、決められたとおり、面会交流させるように、相手方を説得してくれます。
それでも面会交流させないときは、間接強制といって、面会交流させない親に対して、一定の額の金銭を支払うべきことを命じることにより、心理的な強制を与えて、面会交流させることができます。
ただ、最高裁は、①面会交流の日時又は頻度、②各回の面会交流時間の長さ、③子の引渡しの方法によって、監護している親の義務の内容が特定している場合に限って、審判や調停調書に基づく間接強制が可能であるとしています。
最近の問題として、コロナ感染拡大を受けて、面会交流を制限したり、拒否するケースが多くなりました。子どもの安全の確保や感染拡大防止の観点から、直接会う形での交流から、一定の期間、代替的な交流の方法(ビデオ電話、電話、メール、手紙等)での交流に変更することが、広く認められています。面会交流を一回させなかったことはあるがビデオ通話による面会交流は実施してきた、という事例で、間接強制により直接的面会交流を求めることは過酷執行にあたるとして、間接強制の申し立てを却下した高裁決定が最近出されました。
月刊東海財界 2022年9月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
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監修者プロフィール

弁護士 片岡 憲明
弁護士法人 片岡法律事務所 代表
愛知県弁護士会所属 登録年(平成15年)
1977年岐阜県大垣市生まれ。東京大学法学部卒業、2001年司法試験合格。2003年より弁護士登録し、名古屋市を拠点に法律実務に従事。現在は、弁護士法人片岡法律事務所に所属。
企業法務・交通事故・民事再生といった案件に携わった経験をもとに、現在は個人・法人問わず多様な相談に対応している。特に、離婚・相続などの家事事件や、労働問題・特許訴訟など企業法務に強みを持つ。
愛知県弁護士会および日弁連の各種委員会にも長年にわたり参加し、司法制度や法的実務の発展にも尽力。現在は日弁連司法制度調査会商事経済部会副部会長を務める。
常に変化する法的課題に真摯に向き合い、依頼者一人ひとりにとって最良の解決を目指している。



